PDAに関するエッセイ

プラットフォーム別で見る、独断的お薦めPDA

 僕のPDA遍歴は下記のようになる。一通りのPDA用プラットフォームを経験したわけだ(旧Zaurusは今後継続しなかろうということで良し、PocketPCはCEと基本的には同じということで)。

 一通り見てきて、(今はもうないDOS環境、というかHP200LXを除いて)主にユーザーインタフェース面から見ると次のような特徴が言えるかなと考えている。

Palm
OSとしては非力。PalmOS5になってもまだ扱えるメモリ量などに出自に由来する足かせがある。しかしその割り切りのよさで使いやすさを実現してきたし、他のOSに多大な影響を与えた。たとえばPCとの簡単な同期、キーボードにこだわらない英数字のみのペン入力、縦型のコンパクトな筺体などはあきらかにPalmの持ち込んだスタイルであろう。  またその割り切り様がパワーユーザーを呼び、彼らに痒いところに手が届くツールを続々と作り出させた。  個人的な感想では、現在最も「電子手帳的機能が優れた」OSだと思う。またSONYの牽引によってマルチメディア機能も華々しく宣伝されているところは、一般ユーザーへの訴求力が強かろう。
WindowsCE(PocketPC含む)
現在最もパワフルなOSだと思う。PC環境と操作性が似ていることは、人によっては大きな利点だったりする。PDAとデスクトップで操作性やデータが同じアプリケーションがあることはたいへんにストレスが少ないものである。しかし実はできることや単体としての操作性自体はさほど優れているわけでもない。なまじデスクトップと同じようなインターフェースを持って始まっただけに、かえって「中途半端」だったのだ。PocketPCとなって、正直Palmの機能をパクることによって使えるOSになってきたと思う。それでも消えもせず育ってきたものではある。ハードウェアはパワフルなもものが多く商品としては魅力的なものも多い。
Linux
本来がUNIX互換OSで、PDAなどへの組み込みが考慮されてきたわけではない上に、歴史も浅いのでもっとも不利な環境だとは思う。しかしSL-C750/760の登場で随分と練れてきた。これはソフトが今ひとつ最適化されていない部分をハードウェアでカバーしてきたと言えよう。ハードの進歩はすごいものだな。

 一方、現在どんな使い道がPDAに求められているだろうか。ざっとまとめると下記のようになるか。

 で、上記を踏まえて僕個人が現在PDAに求めるのは下記のような項目になる。

 これらを考慮した上で、僕自身が現在どのプラットフォームをもっとも評価しているかというと、Linuxだったりするのだ。これはZaurusのハードが優れているからというわけでもなくて、PIM機能は必要最小限を満たしており、そのうえで蓄積されたUNIX互換OSとしてのノウハウがマニアックな要求を満たしてくれるからだ。この「遊び心」の部分は実に大きい。ただしPIM機能はほんとうに「最小限」ではあるので、今後の魅力的なソフトの登場を強く望んでもいるのだが。

 で、表題の通り「プラットフォーム別にみるお薦めPDAは?」というと

 僕のオタク心を無視すれば、一般的なビジネスユーザーはCLIE(のシンプルなモデル)が一番使いやすいと思う。製品としてはCE搭載マシンも魅力的なものがある。しかし実はPIM機能が(標準のままでは)もっとも使いにくいと思うので、僕が「どのPDAがお薦めか」と聞かれたらCE系はあまり念頭に上らないのである。

 その他、比較的「何をしたい」という目的を持っているユーザーなら、当然それに応じてお勧めする機種が違ってはくる。

長いテキストを入力したい。

例えば会議中の議事録とかであれば、シグマリオンIII。キーボードと高精細ディスプレイはまさに長文向け。しかし通信用途にはあまりお勧めしなかったりする。少なくとも立ったままの入力には向いていないので、日本の都市部での「モバイル」には合わないところがあると思うのだ。また、これはプラットフォームがどうとかいう以前にハードの設計によるものだ。

電車の中を考慮したモバイルとPIMを両立させたい

 これはLinuxZaurusでしょう。辞書機能はあって悪くないから、SL-C760ですね。2スロットなのも非常に便利。

 つまり、「PDAってなにができるの?」というノンポリにはPalm、目的があればそれに応じて、ということになる。

で、本当に独断でお薦めを選ぶとしたら。

LinuxZaurusを買いなさい、LinuxZaurusを。

僕のマニア心ばかりじゃなく。初心者に足りる程度の機能はある。ヘビーユーザーを満足させるマニアックさはぴかいち。中級者は・・・ヘビーユーザーに育ちましょう(笑)。