小さい時から美術館や博物館に行くのが好きだった。
記憶にある最初は、上野の西洋美術館。
モネの「睡蓮」や、クールベの「波」、ロダンの「地獄門」は、子どもの僕には衝撃だった。
絵を描くのが好きなので、母に良く連れて行ってもらった。
このページには、昔の美術館探訪の記録やら、最近の美術展の感想やらを書いてみたい。
97年5月14日 ザ・ミュージアム 「ヴラマンク展」より
【赤い家(メゾンルージュ)】・・・田園の一角にある一件の家
白い壁と赤い屋根。家に向かう道の横には畑らしき茶色のスペース。何本かの木に囲まれ、家の奥には更に林が続く。空はグレーで暗く覆い被さるようだ。よく見ると畑の入り口には農夫らしき人が一人立っている。家へ向かう小道は私を彼の世界へ誘う。ふと見ると、暗澹たる空の一部に雲の切れ目が・・・彼の絵にはこういう空が多い。汚れた雪道、枯れかけた花、・・・かれが愛した自然の飾らない日常は、彼の遺言どおり、こうした形で遺されている。自然の中に入り込まなければならぬと言っていた彼は孤独な画家だった。自然の中の一軒家は彼自身であり、暗いトーンの中で目立つ屋根の赤は生涯守った原色の情熱だ。
97年7月9日 ザ・ミュージアム 「ボナール展」より
【VASE IN THE HALF LIGHT(薄暗がりの中の花瓶)】
心が開かないのか、疲れか、それともただ暑いからなのか。いまいち魅せられることがない。唯一引っかかったのがこの絵。なぜ明るい外とか、室内とかにしなかったのか。敢えて描きにくい光の量の条件を選んだのか。ボナールは色の魔術師と言われ、外光の中の風物を輝くばかりの色彩で描くのを得意としていた。そういう意味では、これは異色の存在だ。影は光との組み合わせで初めて生き生きと働いてくれるのに。花は赤紫と淡いピンクとオレンジ色の小花の集まりで派手とは言いがたい。外光は画面右四分の一の広さを占める縦長の壁に映るのみ。しかし、よく見ると、花瓶がもしくすんだ緑茶色のガラス製だとしたら。外の壁と正反対の部屋の奥に向かう角の部分が一筋オレンジ色の線が引いてある。これが、外光を透かしていることを示しているのかもしれない。1919年作。
98年1月7日 ザ・ミュージアム 「英国浪漫派展」より
F・C・ロビンスンの【青い鳥あるいは夢】
不思議な絵。子供たちが絵を見ることを覚え始めた。何を考えながら見ているのだろう。
99年1月5日 ザ・ミュージアム 「オランジュリー展」
渋谷にオランジュリー展を見に行く。話題性高く、平日にもかかわらず大変な混雑。もう一度空いた時を見計らって来てゆっくりと見たい。作品群は印象派が大半で、一言で言うと、「絢爛」。
04年8月8日 白金 松岡美術館「フランス印象派展」
白金は、大好きな“目黒庭園美術館”のある街。こちらはしょっちゅう行くので、そのうち書くつもり・・・。で、松岡美術館。子どもの美術の宿題に付き合って、家族4人で出かけた。初めて訪れたが、こぢんまりとしてこぎれいな美術館。実業家松岡清治郎氏の所蔵作品。個人でこれだけのものを集められるのがまず凄い。モネやブータンの明るい絵画も素敵だが、古代オリエントやガンダーラの彫刻が新鮮だ。
04年8月11日 諏訪 北澤美術館「エミール・ガレ展」
長野県の諏訪湖畔にある、近代的なデザインの建物。エミール・ガレは、以前目黒の庭園美術館で見たことがある。ガラスの芸術ここに極まれり。展示室入り口に構えていたのは、有名な「一夜茸」。開き具合がそれぞれ違う一夜茸が寄り添うように立っている。ランプの灯をともすと飴色の傘の部分が柔らかな光を広げる。寒気の厳しい諏訪地方の気候のため、割れないように気をつかうガラス工芸品。儚い物の代名詞にもなっているガラスの作品。作者の手を離れて一夜一夜と数えつつ今夜も淡い光を放っているのだろうか。
05年1月1日 上野の森美術館「兵馬俑展」
正月元旦に出かけるのも珍しいのに、さらに展覧会に行くのは初めて。今年は、スタートから充実した一年になるかな。
兵馬俑と言えば、言わずと知れた、秦の始皇帝の陵墓の近くで発見された8000体の等身大の陶器性の兵隊たち。驚きなのは、その一体一体が個性を持った表情をしていること。均整の取れた顔立ちの文官がいると思うと、醜い心根が表情にあらわれた武官もいる。数の多さもさることながら、8000もの個性を誰が創造したのか。不思議いっぱいである。これだけの数の副葬品をわが墓のそばに埋葬させた始皇帝(ファーストエンペラー)とは一体どんなひとだったのだろうか。
05年4月24日 横浜美術館「ルーブル美術館展」
久しぶりに家族4人そろって展覧会である。この辺も再開発の波でドンドン変わっている。何もない空き地が次々に新スポットになっていく。その中では古株なのが横浜美術館。ゆったりした作りがいい。今日は「ルーブル美術館展」。アングルの「泉」に出会える。他にも、印象的な作品がたくさんあった。フランス国外初公開の作品も多いとか。これはおおもとのルーブル美術館に行かなくちゃ、と思わせるひとときであった。(外国旅行は趣味じゃないけど)あと、ルイ・ダビッドという人の「ルイ・トリュデーヌ夫人」で使われていた腰帯のブルーが印象的だった。
05年5月4日 上野 東京国立博物館「ベルリンの秘宝展」
ゴールデンウィーク終盤。下の娘と二人で上野へ出かけた。絵だけでなく、陶芸にも興味があるので下の娘とはその点で話が合う。ベルリンにある、世界遺産の博物館島からの出品展。
メインのボッティチェリのビーナスはもちろん美しい。普段あまり見られないものが多数あったが、中でもエジプト美術は二人で時間をかけて見て回った。それにしても、この手の展覧会には人が多くて疲れる。・・・帰りに二人で寿司屋に入った。カウンター席で、欲しいものを注文するのは初めてで、娘も照れながらも美味しいを連発していた。
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