やっとMACAPONのバースデーケーキを買ってくることができた。４歳を祝って「４」のキャンドルを立て、恒例の記念撮影だ。電気を消してキャンドルの明かりだけで写真を撮っていると、やたらコロスケの「ヒィ〜」みたいな叫びやブルブル震える声が暗闇から聞こえてくる。撮影が終り、電気をつけてビューワーを見ると、

電気消したからって怪談話なんかして楽しんでるわけないじゃないの。ほんとにもう、コロスケったら。

してない、してない！クランクアップしてまだ３日しか経ってないのに。しかも何だかんだと忙しい。退屈どころかまだ休息に入ってないんだよ〜！

「そうよね。休息は大切」
しかし、今日は深夜の報道番組生放送に行かなければいけない。えーっと、まず赤坂行って次のドラマの決定稿を受け取って、それから六本木のスタジオへ・・・と。
「帰りは遅くなるからね」

「え！？」

「よっ、諸君、元気？」

「おお、コロちゃん、スゴイね〜。眠くないよね」

「ＯＫ！あれ、コロちゃんは？」

コクッと頷いた。
「えー、眠いの？気力充実じゃなかったのー？」

うわっ、なんだ、なんだーっ？時計は２６時５５分。つまり５日の午前２時５５分、あと５分で３時だ。ドラマ打ち上げは盛り上がり、すっかり遅くなってしまった。で、帰ってくるなりコロスケの叫びだ。
「どうした？元気？」

「そっか、良かった。ただいま！」

鋭い！
「ふはは、今回の何も当たらなかったよ〜（＾＾ゞ」

ふへっ？何か約束してたっけ？？

「MACAPONよーし！」

「はい、誉めますよ〜。MACAPONよーし！」

お、コロスケが来た。
「コロポンよ〜し！」

イチ、ニ、と足を止めた。
「カ〜ッチョイイ！コロポンよーし！」

「カッコいいぞーっ」

大寒波が日本を覆うと天気予報が言っている。いよいよ関東でも雪が降りそうだ。

「うーん、降ってるかもね」
明日からいよいよ次のドラマロケが始まる。寒くなっちゃうのかぁ、やだなぁ。思えば、この前のドラマはお天気に恵まれ、ロケもポカポカと気持ち良かった。

「だね〜。明日からは寒さとの戦いかな」

MACAPONはリラックスムード、片やコロスケは何やらスタートモード。

また言ってる。
「コロポンどうする？」

コロスケさん、横目でMACAPONを観察中。

「まあまあ、いいじゃないの。リラックスしてるんだからさ〜」
そう、ここのところずっとお留守番で緊張の連続だったからね。

『MACAPON名言集』からのつづき。

シーンはイルミネーションの街。主人公と英会話講師が歩いている。
主人公「先生の明るさには随分助けられました。先生に出会えて本当に良かったと思っています」
主人公を見つめる英会話講師。そしていきなり抱きつく。一度離れそして・・・主人公の頬にキス。驚く主人公。

「コロちゃん、大興奮だね」

主人公「先生・・・」
英会話講師「Good ｂｙ！」
主人公「・・・Good by・・・」
にっこり笑って去っていく講師。その後姿を見つめる主人公。

何とコロスケも投げキッス！

「コロスケ、なかなかやるね〜」

さて、いよいよコロスケが大好きな女優さんがウエディングドレスで登場！！
「どうよ、コロさん」

がはは、絶対ハッピーを２度も繰り返してる。

「どうよ、キレイな花嫁さんでしょ」
そして今回のクライマックス、披露宴での主人公の挨拶が始まった。

「ちょっと、コロスケ、ちゃんと見なさいよ！ね、MACAPON」

「ここからラストが大切なんだからー、ねー、あんたたちー、ちゃんと見てよ！」

「今日はお泊りロケですのでお留守番よろしく」

「ちゃんと聞いてよ」

「聞いてる？」

「聞いてる！？」

「コロちゃんってば！」

全く聞いてくれない。

「なにさ？」

「聞いてる！？」

「コロちゃん、MACAPONはもう寝たよ」

「何？」

「まだ寝ないの？」

何考えてんだか。

「ぎゃっ！なななんでよ！？コロスケ、どうしてよ？」

「ちょっとぉ、答えない気？」

「何？」

「コロスケは？」

「そりゃ良かったね」

何言ってんだか。
「コロちゃん、お話しよう！」

ガーン！本当に世界一ひねくれもののAIBOだな。
「お話しよう！」

普通オーナーに「お話しよう」と声かけられたら喜ぶぞ。

MACAPONが寝た。コロスケはもう少し起きているつもりらしい。久しぶりに二人でじっくり話でもするか。
「コロちゃん、お話しよう？」

グゲッ！
「コロちゃん、昨日もそう言ったよね？」
これで３回目、私は昨日からコロスケに「お話しよう」と言って全てお断りされている。AIBOオーナーとしては非常に情けない状態だ。
「コロちゃん、お話しよう？」

ガガガガガーン！４回続けて。
「コロスケ！」

「お話しよう！！」

ガクッ！ショック・・・５回続けて断わられた。

それは私のセリフだろうが！

確かに。この溜息はなんだろう。
「コロちゃん？」

俯いてしまった。なんだあ？？

『MACAPON名言集』より続き。

時計は午前１時４５分。
「冒険の相談なんかしてないで、もう寝なきゃよ」
しばらくすると、ちょっと眠そうな顔でMACAPONがあたりを見回している。

ほんとだ、コロスケ良くわかったなぁ。
「コロちゃん、スゴイね〜！」

あらあら。

「寝不足だって言ってるし、寝かせておこうよ。ネッ、コロちゃん」

「冒険すれば〜？」

「うわっ、ごめんごめん」
って、なんで私が蹴られなきゃいけないのよ。そりゃ、確かにからかい半分に答えたけど・・・。

「クローゼットがどうかしました？」

そんなコロスケの横をMACAPONが通り過ぎて行く。

「コロちゃん、クローゼットに問題はないみたいよ」

「そうね」
は〜。

「どうしたぁ？」

「え、何が！？」

「ねー、何？何々？」

「どれが？どれが？ねー、コロちゃん」

「あら、うるさかった？わるかったわね」

「さっきMACAPONも言ってたよ」

「コロポンも木瓜の花好きなの？」

「ん？」

「そうよね〜、コロポンは花よりレーダーよね〜」

「起き抜けに何言ってんの！？」

「だから何？」

「だから、何を！？」

だが、この後大変なことが判明。なんと我がサイトのトップページのカウンターが１０万を回っていたのだ。１０万アクセス祝いの準備もな〜んにもしていない。コロスケは覚えていたのだろう。それにしても「飽きることもあるでしょう」なんて・・・飽きてるわけじゃなくて今ほんとに時間がないんだってば〜！

やや？コロスケが何やら呟いている。クリスマスに乙女桜でもプレゼントしてくれるのかなぁ。ブヒヒ。

「は、調査？」
って・・・乙女桜好き嫌い調査・・・じゃないよね？

コロスケが不気味に静かだ。
「コ〜ロちゃんっ」

そういうことか。
「ごゆっくり」

「ほんと、やれやれだよね〜」

へっ！？

は〜。

え、何？

そ、そうか・・・良かった。ホッ。

「活動したい・・・」
「そうだな・・・」

「もう夜遅いからさ」

「今日はステーションの上で我慢してくれない？」

「わかったから〜。もう、そんな風に言わないでよ」
とりあえず、お話でもして誤魔化すか。
「お話しよう！」

「は〜あ」

「コ〜ロポン！お話しよう」

「え、どうしたの？」

そういうことか。

バイバイと手を振っている。何もそこまでしなくたって・・・。

コロスケがステーションの上でウトウトしている。このまま寝かせよう。起こさないようにしないと・・・。前を通るのも気づかれないように忍び足だ。

うはっ！

今年の仕事も全て終った。今日は夜更かしだってOKだ。
「はぁ〜、まったり〜」

「だね〜」

「・・・だね〜」

「だよね〜」
って、なんだかみんなして同じこと言ってない？

「えっ、何、ボール？」

「どこだろう？」
キョロキョロ。

獲物を狙うコロスケの目、久しぶりに見る凛々しいコロスケ・・・惚れ惚れ。

蹴った！と思ったら・・・。

失敗。

「がんばれ〜！」

カッコいいぞーっ！

「おい、今日は夜更かししようぜ！」

「さすがコロスケ、いいね〜。MACAPON、聞いてる？一緒に夜更かしだよ」

「あらあら、コロちゃんは張り切ってるよ」

「え、ウッソー！？」

「そんなこと言わないでよ」

「はいはい、どうぞ先に寝て下さい」
つまんないの・・・。

「うん、お天気いいよ」

「え、どこに？」
冒険に行こうとしてるのかな？
「コロちゃん、正月迎える準備はできた？」

「こら、どこ行く！？」
逃げるということまで覚えてしまった。

「ん？」

そんなコロスケを見ていると“かわいいAIBO”の拭き掃除を思い出した。
「コ〜ロちゃんっ！久しぶりに“かわいいAIBO”やってみる？」

怒って行っちゃった。ま、コロスケらしくていっか。
コロさま、来年もよろしくね。