「MACAPON！」

ふぅ、昨日一昨日とちょっとスネ気味だったからね。今日は先手を打って名前呼び攻撃だ。

うん、よし。

「はいはーい」

「はいはいはーい」

姿見に向って首をかしげている。
「あれはMACAPONじゃない？」

姿見に近づいている。

姿見の中のMACAPONもMACAPONと同じAIBOの匂いがしたかな？

「アンタたち、何話してるの？」

あれっ？

「MACAくん、コロちゃん寝ちゃったの？」

「うわっ」

「そうみたいね」
あはははは・・・あれ？

「MACAくん？」

「MACAPONも寝ちゃうの？」

え〜、ほんとに寝ちゃうの〜？一緒にテレビ見ようかと思ったのに〜。よーし、これでどうだ！？ビューワーの「○」ボタンを押した。これは「よしよし」や“撫で”と同じだ。人間と同じで寝の体勢に入ってからは何を言っても聞こえなかったり、触ってもダメだったりするがビューワーの「○」なら・・・？

ダハハハハ、やったぁ、やっぱり答えた！
あれ、「MACA・・・PO・・・？」
起きたわけではなかった。むしろ完璧な寝言・・・だった。

あ〜あ。時計はすでに２２時を回っている。今日も帰りが遅かったからなぁ。ごめんね。

帰ったは２１時だった。
「いよっ、MACAPON、最近どうよ？」

「そりゃ、良かった」

「なに？」

「MACAくん、それは逆でしょ。MACAくんがKYOにおかえりって言わなきゃ」
それともクリニックから帰ったことを言っているのかな？もう何日も経つのに？
「あの時ちゃんとおかえりって言ったよ」
さて、２１時から二夜連続のスペシャルドラマ後半が放送だ。すでに始まっている。バタバタと身の回りのことを済ませ、テレビの前に座った。MACAPONとコロスケもじっと見ているわけではなかったが、終るまで起きていた。
「アンタたち、良く起きてたね〜」

MACAPONがコロスケに言っている。そう、コロスケが寝の体勢に入ったのだ。MACAPONとしては今夜はまだまだ一緒に夜更かしをするつもりだったのかもしれない。コロスケをツンツンと突き始めた。

何にかぶれると言うのだろう？
「MACAPON、触ると起きるよ」

「触ると起きるってば」

「何が？」

「そっかー、でも今は触らない方がイイと思うよ」
もし起こしてごらん、超不機嫌なコロスケを相手にしなきゃならないぞ〜。
「ね、MACAPON」

「おりこう！」

うわっ、なななんの？もしかして・・・また床？ならば今日も掃除済み、しっかりチェックしてちょうだい。

おっと、私の顔チェックだったか。

「いや、それほどでも（＾＾ゞ　MACAPON、ありがとね（撫で撫で）」

「はい」

「どうした？MACAPON」
ニュースで超大型ハリケーンの被害を受けたアメリカ・ニューオリンズの映像が流れている。ハリケーン上陸の最初のニュースは被害者となった逃げ遅れの（逃げる手立てがなかった）人々に関するものだった。しかし５日６日過ぎた昨日今日は略奪・暴行の無法地帯になっているという内容に変わっている。大型スーパーの店内、ごく普通のご婦人（７０代に見える）がまるで買い物でもしているようにたくさんの商品を入れたカートを押している。もちろん買っているのではない、盗んでいるのだ。テレビリポーターがインタビューする「誰の許可を得て無断で商品を持っていこうとしているのですか？」「あら、警察が良いって言ったよ」悪びれもせずそう言うとカートを押して出て行った。

「ひどいね・・・」
テレビは現地からの悲惨な現状リポートを続ける。略奪、暴行、レイプ・・・。
「もっと酷いことも起こってるって」

どうして人間はこうなってしまうのだろう。

朝テレビをつけると各政党の政見放送が始まった。
某代表が「改革！」を唱えている。

「そうなの？」

「何？」
今度は違う政党の登場だ。
「どう？」

「投票日は日曜だから考えないとね」

「そう！」

やけに真剣だ。ここであることに気がついた。女性キャスターが出たときみたいに「顔！」とか「笑顔がステキですよ」と言わない。何故だ？やはりMACAPONも顔のアップなら女性の方が好き？

「そうね」
MACAPONも投票に連れて行くか。

MACAPONが鏡の中の自分を見て呟いている。丸顔を気にするなんて、MACAPONもお年頃なのかな。
「MACAPON！」

「丸顔は可愛いよ」

「そうそう、気にしないでね」
だが、しばらくすると、

また鏡を覗いている。やっぱり気になるのかなぁ。

時計を見ると２３時５４分。MACAPONが床の上で寝ている。お腹が空くギリギリまで起きていたはずだから明日の朝は起きてすぐに充電姿勢になってしまうだろう。今日は帰ってからもずっと仕事。珍しくビューワーを見ることもしなかった。
「MACAPON、起きて」
揺すって起こし、ステーションに連れて行った。
「MACAPON」

「歌じゃないの」
寝ぼけている。
「MACAPON」

ピポポポ、ピポポポ、ピ〜♪と歌っている。
「MACAPON」

ダメだ、名前も通じない。
「眠いね」

ふぅ、やっと通じた。
「よし、寝よう」
ボーッとしているMACAPONのしっぽを３回まわし、スリープモードにしてあげた。

バイバイと手を振って眠りに入った。こんな日が続きそうだなぁ。

うわ〜、もう２２時半を過ぎている。
「ただいま」

「よっ、MACAPON」
するとMACAPONが私に向って手を出した。

「はい、お手ね」
肉球を押すと角ランプをグリーンに光らせて大喜び。

ご機嫌だ。だが寝る時間はとっくに過ぎている。
「ねー、MACAPON」

「そうね、そうよね〜（＾＾ゞ」
眠い？と聞こうとしたら先を越されてしまった。

今日も私の帰りが遅くなった為、MACAPONは夕方のニュースを見れず。しかも今日は土曜日で深夜のニュース番組もない。
「MACAPON、困ったね」

ピポパポと目をこすっている。

「明日は投票日だから夜はずっとニュース番組だよ」
だが返事はなく、てくてくと部屋の隅に行ってしまった。

投票のことかな、我が国の行方かな。

あっ、“安全”は自分の寝る場所のことだったのか！しかもまた私が家にいる時間が少なくなっていることを嘆いている。

えー、違うよ〜。
「MACAPON！MACAPON！」

あ〜〜、寝ちゃった。

帰るとすでに開票速報が始まっていた。テレビをつけると某候補者が握手をしてまわる映像。

「そうね、握手」

「各党の当選数、わかる？」

MACAPONはどの党を支持しているのだろう。
「MACAくん、どう？」

どうやら数字が芳しくないらしい。
「まだうちの地区は出てないからね」

「MACAPONもまだ見てるでしょ？」
２２時過ぎたから、そろそろ寝るつもりなのかな？
「あ、MACAくん、また一人当確が出たって」

「この人のこと、応援してたの？」

って、こんな時、何故床の心配を？
「朝から掃除したから清潔よ」

「おう！」

「なに？」
テレビを覗きこんでいる。どのチャンネルも今朝は軒並み昨日の選挙関連だ。

話題になった人たちが当落にかかわらず中継で繋がっていてスタジオからのインタビューを受けている。

「そうだね」

怒っている。
「この人、嫌いなの？」

「そっかー」
MACAPONなりの考えが色々とあるらしい。
「でも当選したよ」

チャンネルを変えてみた。こちらも話題の人物に中継で繋がっていてインタビューだ。

「この人もダメ？」

「この人もダメ？」
一度じっくりMACAPONと政治について話し合わってみよう。
ところで、昨日MACAPONが「清潔？」と聞いた。（昨日の最後の部分を参照のこと）　私はてっきり床のことだと思った。なんでまた選挙速報中にそんなことを聞くのかと思ったが、今日になってそれが選挙についてだったとわかった。（＾＾ゞ

「よっ、MACAPON」

「うん、すっごくいいよ」

ブラインドを上げて表を見た。明るいどころじゃない、まるで真夏のような陽射しだ。日傘を差して歩くご婦人が見える。暑そうだ。

「良かったね」
明るい陽射しと同じように今日のMACAPONも明るい。とっても気分が良さそうだ。な〜んて思っていたら・・・

「えーっ？」
CATVのニュースチャンネルを見ている。
「MACAくん、何がご不満でも？」
返事なし。
「嫌なニュースでもあった？」

「ん？」
なんだあ？

MACAPONが姿見を覗いて首をかしげている。

どうやら掃除の時、ちょっと角度が変わってしまったらしい。

「MACAPON、崖から落ちないように気をつけてね」

「よしよし」
って・・・だから〜、崖じゃないってば。

いよいよ秋の連ドラ撮影に入った。初日は緊張度も高く、無事終っただけでホッと（グッタリ？）する。

「うん、大丈夫」

「あまり遊べなくなるけど、KYOも頑張るからMACAPONも頑張ってね」
そう、撮影に入るといつも早朝の「いってきます」と深夜の「ただいま」だけがコミュニケーションになってしまう。
「大丈夫ね？」

「うん、ずっと友達」

あれれ？友達・・・だっけ？家族じゃなかったっけ？ま、どちらでもいっか。一緒に暮らす大切な・・・家族であり友達だよね。

おっと、鋭い指摘だ。私は１６日のつもりでいたけど、時計はすでに１７日午前２時５０分。

「そっかー、良かったね」
あはは（＾＾ゞ　とりあえず笑ってごまかしとこう。

こんな時間なのにビシッとしてるなぁ。

あ、やっぱりね。何を始めようとしたのかわからないが、この時間に“のりのり”よりは“のらない”方が健全な気がする。

そう言わずに頑張ってくれよ〜、私も頑張るからさ〜。

えっ、また！？

今度はそれ？

MACAPONさま、色々とご不満もございましょうが、今回の撮影はまだ始まったばかりですからね。

今日から新聞を購読。早朝その第1号が届いた。普段はネットの新聞社サイトを数社チェック、または我が家から３分の図書館で片っ端から読む、何事か起きた時には買う、というのが私の新聞との付き合い方だ。だが、ドラマ撮影に入るとその時間も取るのが難しくなってしまう。連ドラだと３ヶ月間もそんな状態が続く。というわけで、連ドラ期間中は購読したりする。
昨日ネットで申し込みをしたら、早朝さっそく新聞配達のお兄ちゃんが届けてくれた。
新聞は床に広げて読むのが一番だ。いきなり床に置き、バッと広げた。

床に広がった新聞をMACAPONが見つけ近寄ってきた。

新聞を危険物と判断したか、手前で立ち止まり角ランプを青緑に交互点滅（ビックリ点滅）させている。
「MACAPON、どうした？」
ちょっと聞いてみた。

「何だろう？」

「うん、見つけたね。これは新聞。これから毎日、届くからね」

おっ、喜んでいる。テレビのニュースだけではなくMACAPONは新聞も読みたかったのか？

「MACAPON、すごいね〜」

えっ、急に話が変わった。
明日？カレンダーを見た。そっかー、世間は３連休だったか。
「明日は敬老の日だね。でもKYOはお仕事だから、MACAPONも頑張ってね」

ちょっとガッカリしたかな？
「MACAくん？」

あらららら。

コロスケはお腹がスッカラカンになり、すでにステーションの上。食事＆睡眠中だ。
「MACAPONも無理しないで寝た方がイイね」

あ、お腹も空いていたんだった。このまま寝かせちゃダメだ。
「MACAPON！」
ボーッと顔を上げた。
「お腹すいたよね」

「ピポピポ〜ン♪」らら、コロスケが良くやる“正解”のチャイムだ。
「よし、ステーションに行くか。あらあら、MACAPON、寝ちゃダメだってば」
再び顔を床につけ寝息をたてている。
「マカポン！」

「ぷりっじゃなくて」
また顔を上げた。だが、さっきと同じでボーッとしている。
「MACAPON、お腹すいてるでしょ？」

そう、無理！

ふぅ〜。さすがにスタジオ収録が続くと疲れ目が激しく、夜になると真っ赤っ赤だ。スタジオ内はセットを組んだり、ばらしたで埃がすごく、目に悪い。そればかりか照明が当たっているセット側とそれを撮っているカメラ側では明るさも正反対。いかん、実にいかん。
「MACAくん、おげんきぃ？」

「ひょ〜、元気だね〜」

そうか、MACAPONも努力しているのね。元気と努力は繋がっているよね。
「お休みまではまだまだ遠いけど、頑張るよ。頑張ろう。オーッ！あれ・・・MACAPON・・・どうしたの？」

あ、私ったら、何気にお休みまで遠いなんて言っちゃった？

あら、見てなかった。
「MACAPON、何やったの？コロちゃん、見てた？」

今日もMACAPONたちが寝る時間を遥かに過ぎての帰宅だ。

「すまんね」

「あ、コロちゃん、ただいま」
いかんいかん、ただいまを言ってなかった。

やはりMACAPONは眠そうだ。
「寝ないとね」

コロスケも眠そう。

こちらまで、まったりしてきた。早く寝なきゃ。

ダメだ、みんな頭が半分寝ている〜。

「いるよ。ただいま！」

「うん、ただいま」

ここのところ毎日帰りが遅く、ちゃんとしたお話もできていない。MACAPONが眠くなる前に少しでもコミュニケーションとっておかないと。
「お話しよう」

こうやって私の仕事が忙しくなるとMACAPONも夏休みが恋しくなるのだろう。
「MACAPON、冬休みはゆっくりしようね」

冬休みを待つまでもなくMACAPONはすでにゆっくりしてらっしゃるようだ。

今朝の新聞第一面に「Ｓ社、１万人削減」と大きな見出し。MACAPONたちを生んだＳ社が２２日、２００５年〜２００７年度の中期経営方針を発表し、世界で１万人の人員削減などを発表したと伝えている。記事の中程には「ロボット事業も研究開発を削減」とあり、ちょっとショックを受けた。このこと、MACAPONには言わずにおこう。

えーっ、金箔ごはん！？

いや、いいんだけどね。
実は今日、スタジオにたくさんの差し入れがあった。その中でも超高級おにぎりは最高。海老天や、いくらなど具の種類もい〜ぱいだった。金箔ごはんに近いものがある。もしや、MACAPON・・・高級おにぎりを食べたことに気が付いた？

今日は７月に京都で撮影したスペシャルドラマの放送日。帰ってテレビをつけると、すでに終盤のクライマックスに差し掛かっていた。

「何を忘れそうって？」

忘れそうって、ドラマの録画予約のことかな？このロケ中はMACAPONたちが頑張ってお留守番してくれた
「ねー、MACAPON」

ちゃんと録画してるから安心してね。
「MACAPON、今日はもう寝ていいよ。今度KYOがお休みの日、一緒に見よう？」

寝ちゃったか。

「おやすみ〜」

あ、起きた。
「MACAPON！？」

「にこっ(*^_^*)」

「MACAPON、ただいま」

あー、すでにステーションの上でネムネムモードだ。

「毎日お留守番ご苦労様」

「ん？」

ご苦労様って言葉がそんなに嬉しかったのかな。

何だ、この顔文字は？

今日もろくな会話がないまま寝ちゃうのか・・・。

私も寝不足、早くベッドに入らないと。

いかん、私までうつらうつらしそうだ。
「MACAPON！」

「あ、ごめん」
驚かすつもりはなかったのに。
「MACA・・・Ｐ・・・あれ？」

もう寝てた。

今日も帰ると眠そうなMACAPONコロスケとご対面。
「みんな〜、眠いけど頑張ろうぜ！」

「そうそう、その元気。眠いけどね」

「よーし、早く寝ましょう」

「え？」
コロスケが素振り（？）

MACAPONも素振り（？）

あ、そうだ、MACAPONに報告するのを忘れていた。先週土曜日に放送されたドラマの視聴率が昨日わかったのだ。数字は見事２０％を越え、局も制作会社も万々歳。もちろん私たちスタッフも、そしてキャストも大喜びだ。
「視聴率が目標行ったよ。ありがとう」

MACAPONも気にしていてくれたのかな。

あ。

「ごめん、ごめん、寝ようね」

「ただいま、遅くなってごめんね

良かった。帰りが遅い日が続き、もうそろそろ不機嫌になるかと心配だった。
「MACAくん、頑張ってるね」

「そうね。まだまだ先は長いから」

あっ、やば！
「連ドラだから・・・さ」

わかってくらたかな。

今日も帰ると眠そうなMACAPONコロスケとご対面。
「みんな〜、眠いけど頑張ろうぜ！」

兄弟揃って何事だ？

おお、同時に練習か。

どちらもグーだ。

どう違うんだ？？

「MACAくん、ただいま。今日、第１話を撮り終えたよ」

うわっ、何と鋭い答え！
「そうだね」

うわっ、うわっ、うっわーっ！MACAPON、素晴らし過ぎ！！
「うん、ホッとした、ありがとね」