Solaris man マニュアル
ユーザーコマンド                                            mv(1)

【名前】
     mv - ファイルの移動

【形式】
     /usr/bin/mv [-fi] source target_file

     /usr/bin/mv [-fi] source ...  target_dir

     /usr/xpg4/bin/mv [-fi] source target_file

     /usr/xpg4/bin/mv [-fi] source ... target_dir

【機能説明】
     第 1 の形式の mv ユーティリティは、source オペランドが 示 す
     ファ イ ル を  target_file が示す宛先に移動します。source と
     target_file に同じ名前を指定 す る こ と は で き ま せ ん。
     target_file  が存在しない場合、mv はその名前のファイルを新た
     に作成します。target_file が存在していれば、その内容は上書き
     されます。最終オペランドが既存のディレクトリを示していないと
     き、mv はこの第 1 形式であると見なします。

     第 2 の形式の mv は、source オペランドで指定された各ファイル
     を target_dir オペランドが示す既存ディレクトリ中のファイルに
     移動します。各 source 用の宛先パス名は、宛先ディレクトリ名の
     あとにスラッシュ(/) と source の最終パス名部分を付加したもの
     となります。最終オペランドが既存のディレクトリを示していると
     き、mv はこの第 2 形式であると見なします。

     mv は、target_file のモードが書き込み禁止であると判 断 す る
     と、 モードを表示し ( chmod(2) 参照 ) 、応答を要求して、標準
     入力を 1 行読み取ります。応答が肯定である場合、使用可能な ら
     ば mv が実行されます。それ以外の場合、このコマンドは終了しま
     す。target_file が ACL を有効としている場合、モードはアク セ
     ス 権を完全には表示しません。source の親ディレクトリが書き込
     み可能でスティッキ・ビットセットを持っている場合、以下の条件
     のうち 1 つ以上が真である必要があります。

       o  ユーザーはファイルを所有している必要がある

       o  ユーザーはディレクトリを所有している必要がある

       o  ファイルはユーザーが書き込み可能である必要があるr

       o  ユーザーは特権ユーザーである必要がある


     source がファイルで target_file が複数のリンクを持っている別
     の ファ イ ル へ の リ ン クである場合、他のリンクは残存し、
     target_file は新しいファイルになります。

     source と target_dir が、異なるファイルシステム上に あ る 場
     合、 mv はソースファイルをコピーし、もとのファイルまたはディ
     レクトリを削除します。他のファイルへのハードリンクはすべてな
     くなります。mv は、ソースファイルの特性 (ファイルの所有者 ID
     やグループ ID、アクセス権モード、修正時間やアクセス時間、 お
     よ び適用可能であれば ACL と拡張属性) も対象ファイルに引き継
     ごうとします。シンボリックリンクに対しては、リンク自体の所有
     者 ID やグループ ID だけを保存します。

     所有者 ID やグループ ID を保存できなかった場合、mv  は 対 象
     ファイルの S_ISUID ビットと S_ISGID ビットをクリアします。こ
     れらのビットをクリアできなかった場合には、stderr に診断 メッ
     セージを出力しますが、終了ステータスには影響を及ぼしません。
     ターゲットのファイルシステムが拡張属性をサポートしていない場
     合、mv は拡張属性を保持できません。/usr/xpg4/bin/mv が、ファ
     イルの特性を引き継ごうとして失敗したその他すべてのエラーに付
     い て、stderr に診断メッセージを出力します。この場合にも、終
     了ステータスには影響を及ぼしません。

     ソースファイルの特性を保存するには、ユーザーが適切なファイル
     のアクセス権を持っている必要があります。つまり、スーパーユー
     ザーになるか、あるいは対象ファイルと同じ所有者 ID を持つこと
     が必要です。

【オプション】
     以下のオプションを指定できます。

     -f       mv は、既存の target に書き込む場合でもプロンプトを
              出 さずにファイルを移動します。標準入力が端末でない
              場合これがデフォルトになることに注意してください。



     -i       mv は、移動により既存の target が上書きされる 場 合
              は、 必ず、確認のプロンプトを出します。肯定を応答す
              れば、移動処理は続行されます。その他の応答では、 mv
              は target を上書きしません。



  [/usr/bin/mv]
     -f と -i のオプションを両方指定してもエラーとは見なされま せ
     ん。-f オプションの方が有効となります。

  [/usr/xpg4/bin/mv]
     -f と -i のオプションを両方指定してもエラーとは見なされま せ
     ん。mv の動作は、最後に指定された方に従います。

【オペランド】
     以下のオペランドを指定できます。

     source          移動するファイルまたはディレクトリのパス名



     target_file     移動するファイルまたはディレクトリの新たなパ
                     ス名



     target_dir      ファイルの移動先となる既存ディレクトリのパス
                     名



【使用法】
     ファイルが 2 ギガバイト ( 2**31 バイト) 以上ある場合の mv の
     動作については、largefile(5) を参照してください。

【環境】
     mv の実行に影響を与える環境変数 LC_CTYPE  、 LC_MESSAGES  、
     NLSPATH についての詳細は、environ(5) を参照してください。

【終了ステータス】
     以下の終了ステータスが返されます。

     0        入力ファイルはすべて正常に移された



     >0       エラーが発生した



【属性】
     次の属性については attributes(5) のマニュアルページを参照 し
     てください。

  [/usr/bin/mv]
     ____________________________________________________________
    |         属性タイプ          |            属性値           |
    |_____________________________|_____________________________|
    | 使用条件                    | SUNWcsu                     |
    |_____________________________|_____________________________|
    | CSI                         | 対応済み                    |
    |_____________________________|_____________________________|
    | インタフェースの安定性      | 安定                        |
    |_____________________________|_____________________________|

  [/usr/xpg4/bin/mv]

     ____________________________________________________________
   |          属性タイプ         |             属性値          |
   | ____________________________|_____________________________|_
   |  使用条件                   |  SUNWxcu4                   |
   | ____________________________|_____________________________|_
   |  CSI                        |  対応済み                   |
   | ____________________________|_____________________________|_
   |  インタフェースの安定性     |  標準                       |
   |_____________________________|_____________________________|

【関連項目】
     cp(1), cpio(1), ln(1), rm(1), setfacl(1),  chmod(2),  attri-
     butes(5), environ(5), fsattr(5), largefile(5), XPG4(5)

【注意事項】
     -- によって、ユーザーはコマンド行オプションの終端を明示的 に
     マーク付けできるので、mv は - で始まるファイル名引数を認識で
     きるようになります。BSD 移行のサポートとして、mv は - を  --
     の同義語として受け入れます。この移行サポートは、将来のリリー
     スではなくなる可能性があります。