Solaris man マニュアル
ユーザーコマンド                                            od(1)

【名前】
     od - 8 進ダンプ

【形式】
     /usr/bin/od [-bcCDdFfOoSsvXx] [-] [file] [offset_string]

     /usr/bin/od  [-bcCDdFfOoSsvXx]  [-A address_base]  [-j skip]
     [-N count] [-t type_string ...] [-] [file ...]

     /usr/xpg4/bin/od      [-bcCDdFfOoSsvXx]      [-]      [file]
     [offset_string]

     /usr/xpg4/bin/od  [-bcCDdFfOoSsvXx]   [-A address_base]   [-
     j skip] [-N count] [-t type_string ...] [-] [file ...]

【機能説明】
     od コマンドは、指定された入力ファイルを順番に標準出 力 に コ
     ピーします。このとき、-t または -bcCDdFfOoSsvXx オプションで
     指定された出力タイプに従って入力データを変換します。出力タイ
     プ指定が省略された場合には、-t o2 が指定されたものと見なしま
     す。-bcCDdFfOoSstvXx オプションを複数回記述して、複数のタ イ
     プを指定することも可能です。その場合、記述した順序に従って出
     力行がタイプごとに書き出されます。入力ファイルを示す file を
     省略した場合には、標準入力が使用されます。[offset_string] オ
     ペランドは、-A 、-j 、-N 、-t の各オプションと排他的です。こ
     のマニュアルページでは、以下の用語を使用しています。

     ワード                  16 ビットのユニットを表します。マ シ
                             ンのワードサイズとは無関係です。



     ロングワード            32 ビットのユニットを表します。



     ダブルロングワード      64 ビットのユニットを表します。



【オプション】
     以下のオプションを指定できます。

     -Aaddress_base  入力オフセット値の 基 数 を 指 定 し ま す。
                     address_base  引数は以下に述べる文字のいずれ
                     かでなければなりません。文字 d、o、x は、 そ
                     れ ぞれ 10 進、8 進、16 進を表します。文字 n
                     は、オフセットは出力しない旨を表します。-A n
                     を指定しない限り、出力行の先頭には、次に書き
                     出されるバイトの入力オフセット値 ( 入力 ファ
                     イ ルでの累積値 ) が付加されます。また、入力
                     データがすべて処理された後は、最後に出力され
                     たバイトの次のバイトのオフセット値が表示され
                     ま す。 -Aaddress_base  オ  プ  ショ  ン  も
                     [offset_string]  オ ペランドも指定されない場
                     合、入力オフセット値は 8 進数で表示 さ れ ま
                     す。



     -b              バイトを 8 進数で解釈します。この指定 は  -t
                     o1 と同じ意味です。



  [/usr/bin/od]
     -c       シングルバイト文字を表示します。非図形文字のなか に
              は、C 言語のエスケープで表示されるものもあります。

              NULL              \0
              バックスペース    \b
              用紙送り          \f
              復帰改行          \n
              リターン          \r
              タブ              \t


              その他の文字は、3 桁の 8 進数で表示されます。たとえ
              ば、次のようにします。


              echo "hello world" | od -c
              0000000   h   e   l   l   o       w   o   r   l   d  \n
              0000014


  [/usr/xpg4/bin/od]
     -c              LC_CTYPE ロケールカテゴリの現在の設定に基 づ
                     き、バイトをシングルバイト文字または複数バイ
                     ト文字で解釈します。印刷可能な複数バイト文字
                     は、文字の最初のバイトに対応する領域に書き込
                     まれます。残りのバイトに対応する領域には、文
                     字が継続することを示す ** が書き込まれます。
                     非図形文字は、-C オプションを使用したとき と
                     同じように解釈されます。



     -C              LC_CTYPE ロケールカテゴリの現在の設定に基 づ
                     き、バイトをシングルバイト文字または複数バイ
                     ト文字で解釈します。印刷可能な複数バイト文字
                     は、文字の最初のバイトに対応する領域に書き込
                     まれます。残りのバイトに対応する領域には、文
                     字が継続することを示す ** が書き込まれます。
                     非図形文字のなかには、C 言語のエスケープで表
                     示されるものもあります。

                     NULL              \0
                     バックスペース    \b
                     用紙送り          \f
                     復帰改行          \n
                     リターン          \r
                     タブ              \t

                     その他の非図形文字に関しては、各バイトにつき
                     3 桁の 8 進数が表示されます。



     -d              ワードを符号なし 10 進数で解釈します。この指
                     定は -t u2 と同じ意味です。



     -D              ロングワードを符号なし 10 進数で解釈します。
                     この指定は -t u4 と同じ意味です。



     -f              ロングワードを浮動小数点で解釈します。この指
                     定は -t f4 と同じ意味です。



     -F              ダブルロングワードを拡張精度で解釈します。こ
                     の指定は -t f8 と同じ意味です。



     -jskip          入力データの先頭の skip 個のバイトをスキップ
                     し ます。od コマンドによる読み取りまたはシー
                     クは、連結された入力ファイルにおいて skip バ
                     イトを超えた地点から行われます。入力データの
                     合計長が skip バイトに満たない場合、od コ マ
                     ンドは標準エラー出力に診断メッセージを書き出
                     し、ゼロ以外の終了ステータスコードで処理を終
                     了します。

                     デフォルトでは skip 引数は 10 進数と解釈され
                     ま す。 先頭に 0x または 0X が付加されていれ
                     ば、オフセット値は 16 進数と解釈されます。ま
                     た 先頭が 0 のときは、8 進数と解釈されます。
                     また数値の後に文字 b、k、または m を付加する
                     と、 それぞれ 512、1024、または 1048576 バイ
                     トの倍数と見なされます。skip 値が 16 進数 の
                     と き、 最後に b が付加されていてもそれは 16
                     進の数字と見なされます。ア ド レ ス 表 示 は
                     0000000 から始まります。その基数が skip 引数
                     の基数によって示されることはありません。



     -Ncount         count が示すバイト数を超えない範囲で入力デー
                     タをフォーマットします。デフォルトでは count
                     は 10 進数と解釈されます。先頭に 0x ま た は
                     0X  が付加されていれば、count は 16 進数と解
                     釈されます。また先頭が 0 のときは、8 進数 と
                     解釈されます。入力データが ( -jskip 指定時は
                     スキップ完了後 ) count バイト分存在しない 場
                     合 でも、エラーとは見なされません。od コマン
                     ドは、存在している分の入力データをフォーマッ
                     ト し ます。表示されるアドレスの基数が count
                     引数の基数によって表されることはありません。



     -o              ワードを 8 進数で解釈します。この指定 は  -t
                     o2 と同じ意味です。



     -O              ロングワードを符号なし 8 進数で解釈しま す。
                     この指定は -t o4 と同じ意味です。



     -s              ワードを符号付き 10 進数で解釈します。この指
                     定は -t d2 と同じ意味です。



     -S              ロングワードを符号付き 10 進数で解釈します。
                     この指定は -t d4 と同じ意味です。



     -ttype_string   出力タイプを指定します。type_string は文字列
                     で、入力データを書き出す際に用いる出力タイプ
                     を表します。複数の文字を使って複数のタイプを
                     指定できます。type_string は、出力タイプを表
                     す以下の文字で構成されていなければなり ま せ
                     ん。

                     a        「名前を与えられた文字」を 表 し ま
                              す。 このタイプ指定では、各バイトの
                              うち最下位の 7 ビットだけが用いられ
                              ま す。以下の表に示す値を持つバイト
                              が、文字に対応した名前を使って出 力
                              されます。

                              od における名前を与えられた文字


                              Value   Name

                               00    nul
                               01    soh
                               02    stx
                               03    etx
                               04    eot
                               05    enq
                               06    ack
                               07    bel
                               10    bs
                               11    ht
                               12    lf
                               13    vt
                               14    ff
                               15    cr
                               16    so
                               17    si
                               20    dle
                               21    dc1
                               22    dc2
                               23    dc3
                               24    dc4
                               25    nak
                               26    syn
                               27    etb
                               30    can
                               31    em
                               32    sub
                               33    esc
                               34    fs
                               35    gs
                               36    rs
                               37    us
                               40    sp
                              177    del



                     c        「文字」を表します。LC_CTYPE ロケー
                              ル カテゴリの現在の設定に基づき、バ
                              イトをシングルバイト文字または複 数
                              バ イト文字で解釈します。印刷可能な
                              複数バイト文字は、文字の最初のバ イ
                              ト に対応する領域に書き込まれます。
                              残りのバイトに対応する領域には、 文
                              字 が継続することを示す ** が書き込
                              まれます。次の非図形文字は、C 言 語
                              のエスケープで表示されます。


                              \0、 \a、 \b、 \f、 \n、 \r、  \t、
                              \v


                              その他の非図形文字に関しては、各 バ
                              イ トにつき 3 桁の 8 進数が表示され
                              ます。



                     タイプ指定文字である d、f、o、u、x  の 後 に
                     は、出力タイプが発生するたびに変換するバイト
                     数を示す符号なし 10 進数を記述することもでき
                     ます。

                     f        「浮動小数点数」を表します。後に 文
                              字  F、D、または L を付加して、タイ
                              プが float、double、long double  の
                              項 目に対して変換を行う旨を表すこと
                              もできます。



                     d, o, u, それぞれ符号付き 10 進数、8 進 数、
                              符 号 なし 10 進数、16 進数を表しま
                              す。後に文字 C、S、I、または L を付
                              加して、タイプが char、short、int、
                              または long の項目に対して変更を 行
                              う旨を表すこともできます。



                     1 つの type_string 中に複数のタイプを続け て
                     指定できます。また -t オプションを複数個指定
                     する可能です。その場合、タイプ指定文字を記述
                     した順序に従って、出力行がタイプごとに書き出
                     されます。


     -v              すべてのデータを表示します ( 冗長 ) 。このオ
                     プションを省略すると、直前の出力行に等しい (
                     バイトオフセットを除く) 行は、すべてアスタリ
                     ス ク  (  * ) だけからなる行に置き換えられま
                     す。



     -x              ワードを 16 進数で解釈します。この指定は  -t
                     x2 と同じ意味です。



     -X              ロングワードを 16 進数で解釈します。この指定
                     は -t x4 と同じ意味です。



【オペランド】
     以下のオペランドは、/usr/bin/od と /usr/xpg4/bin/od で指定で
     きます。

     -               指定されたすべてのファイルに加えて、標準入力
                     を 使 用します。このオペランドを省略すると、
                     file オペランドを指定しなかった場合だけ、 標
                     準入力が使用されます。



  [/usr/bin/od]
     以下のオペランドは、/usr/bin/od でのみ指定されます。

     file                    読み出すファイルのパス名。このオペラ
                             ンドを省略すると、標準入力が用いられ
                             ます。オペランドの数が 2 以 内 で あ
                             り、 -A、-j、-N、-t オプションがすべ
                             て省略され、さらに以下の項目のいずれ
                             かが真である場合には、対応するオペラ
                             ンドはファイルのオペランドではなく、
                             オフセット値指定と見なされます。

                                 1.  最後のオペランドの最初の文字
                                     が正の記号 (+) である。


                                 2.  2 番目のオペランドの最初の文
                                     字が数値である。


                                 3.  2 番目のオペランドの最初の文
                                     字 が x であり、2 番目のオペ
                                     ランドの 2 番目の文字が小 文
                                     字の 16 進数文字または数字で
                                     ある。


                                 4.  2 番目のオペランドが "x"  で
                                     ある。


                                 5.  2 番目のオペランドが "."  で
                                     ある。



                             -N count オプションを省略した場 合、
                             表示はファイルの終わりに到達するまで
                             続けられます。



     [+][0] offset [.][b|B]  offset_string オペランドは、ファイル
     [+][0][offset] [.]      中 の ダンプを始める位置のバイトオフ
     [+][0x|x][offset]       セット値を指定します。デフォル ト で
     [+][0x|x] offset[B]     は、 オフセット値は 8 進数のバイトで
                             解釈され表示されます。offset が 0 で
                             始 まる場合には、オフセット値は 8 進
                             数で解釈されます。offset が x または
                             0x  で始まる場合には、オフセット値は
                             16 進数で解釈され、b を付加した場 合
                             に は、16 進数の数字であるとみなされ
                             ます。"." を付加すると、オフセット値
                             は 10 進数で解釈されます。b または B
                             を付加すると、オフセット値は 512  バ
                             イ ト単位で解釈されます。file 引数を
                             省略する場合には、オフセット値の先頭
                             に  (+) を付加しなければなりません。
                             アドレスの表示は、指定されたオフセッ
                             トから始まります。アドレスの基数は、
                             指定してあればオフセットの基数と同じ
                             に な ります。指定していない場合は 8
                             進数になります。10 進数は 8 進数を上
                             書 き し、同じオフセットオペランドに
                             16 進数と 10 進数の両方の変換を指 定
                             するとエラーになります。



  [/usr/xpg4/bin/od]
     以下のオペランドは、/usr/xpg4/bin/od でのみ指定できます。

     file                    始めの 2 つの項目のどちらかが真で な
                             け れ ば な ら な いことを除いては、
                             /usr/bin/od と同じ。


     +xoffset [B]                    オ フ セッ ト 値 の 記 述 は
     [+] [0] offset [.][b|B]         /usr/bin/od と同じです。
     + [offset] [.]
     [+][0x][offset]
     [+][0x] offset[B]
     +x[offset]
     +xoffset [B]




【環境】
     od の実行に影響を与える環境変 数  LANG、 LC_ALL、 LC_CTYPE、
     LC_MESSAGES、 LC_NUMERIC、 NLSPATH  に つ い て の 詳 細は、
     environ(5) を参照してください。

【終了ステータス】
     以下の終了ステータスが返されます。

     0        正常終了



     >0       エラーが発生した。



【属性】
     次の属性については attributes(5) のマニュアルページを参照 し
     てください。

  [/usr/bin/od]
     ____________________________________________________________
    |         属性タイプ          |            属性値           |
    |_____________________________|_____________________________|
    | 使用条件                    | SUNWtoo                     |
    |_____________________________|_____________________________|
    | CSI                         | 対応済み                    |
    |_____________________________|_____________________________|

  [/usr/xpg4/bin/od]
     ____________________________________________________________
    |         属性タイプ          |            属性値           |
    |_____________________________|_____________________________|
    | 使用条件                    | SUNWxcu4                    |
    |_____________________________|_____________________________|
    | CSI                         | 対応済み                    |
    |_____________________________|_____________________________|
    | インタフェースの安定性      | 標準                        |
    |_____________________________|_____________________________|


【関連項目】
     sed(1), attributes(5), environ(5), standards(5)