ユーザーコマンド more(1)
【名前】
more, page - テキストファイルの表示またはページング
【形式】
/usr/bin/more [-cdflrsuw] [-lines] [ + linenumber] [ +/ pat-
tern] [file ...]
/usr/bin/page [-cdflrsuw] [-lines] [ + linenumber] [ +/ pat-
tern] [file ...]
/usr/xpg4/bin/more [-cdeisu] [-n number] [-p command] [-
t tagstring] [file ...]
/usr/xpg4/bin/more [-cdeisu] [-n number] [ + command] [-
t tagstring] [file ...]
【機能説明】
more ユーティリティは、端末の画面上にテキストファイルの内 容
を 1 画面ずつ表示するフィルタです。通常、画面が一杯になると
休止しま す。 そ の と き /usr/bin/more は --More-- を、
/usr/xpg4/bin/more は file を、いずれも画面の最下段に表示し
ます。more がパイプではなくファイルから読み取る場合、それ ま
でに表示された文字のパーセンテージも併せて表示します。
more ユーティリティは、RETURN 文字が入力されると、もう 1 行
スクロールアップします。SPACE 文字が入力されると、次の画面を
表示します。その他のコマンドは、以下で説明します。
page ユーティリティは、テキストの次の画面を表示する前に画 面
をクリアします。page は、more とは異なり、前画面の最後の行を
現画面の最初に重複して表示することはしません。
more ユーティリティは、端末を NOECHO モードに設定し、連続 し
て出力できるようにします。通常、入力するコマンドは端末上に表
示されません。ただし、/ コマンドと ! コマンドの場合を除き ま
す。
/usr/bin/more ユーティリティは、指定された最後のファイルを表
示 し て 終了します。/usr/xpg4/bin/more は、指定された最後の
ファイルの最終行で、コマンド入力を要求するプロンプトを発行し
ます。
標準出力が端末の場合、more は cat(1) とまったく同じように 動
作 し ますが、複数のファイルが指定された場合、ファイルの前に
ヘッダが表示されます。
【オプション】
/usr/bin/more と /usr/xpg4/bin/more の両方で以下のオプション
が使用できます。
-c 表示前に画面をクリアします。より高速に表示 す る た
め、 画面をスクロールせずに描画し直します。端末が行
の終端までクリアする機能を持たない場合、こ の オ プ
ションは無視されます。
-d 認識できないコマンドが使用された場合、端末ベルを 鳴
ら さずにエラーメッセージを表示します。これは経験の
少ないユーザーに役立ちます。
-s 圧縮。複数の空行を単一の空行と置換します。これ は、
nroff(1) を画面表示させる場合に役立ちます。
[/usr/bin/more]
以下のオプションは /usr/bin/more でのみ指定できます。
-f 長い行を折り返しませ ん。 nroff(1) 出 力 を
ul(1) によりパイプ連結したとき生成されるよう
な非表示文字、またはエスケープシーケンスが行
にあるときに役立ちます。
-l FORMFEED 文字 ( CTRL-L ) をページの中断と み
なしません。-l を使用しない場合、more は休止
して、^L 文字 ( CTRL-L ) の入った行の後の コ
マ ン ド を 受 け 入れます。また、ファイルが
FORMFEED で始まっている場合、ファイルを表 示
する前に画面をクリアします。
-r 通常、more は解釈できない制御文字を無視し ま
す。 -r オプションにより、これらの文字は ^C
として表示されます。
-u 下線引きエスケープシーケンスを生成しません。
通常、more は、nroff(1) が生成するような下線
引きを、端末に適切な方法で処理します。端末が
下線引きを実行できるか、あるいは強調モードを
備えている場合、more はテキストファイルで 呼
び出されたものに対応するエスケープシーケンス
を提供します。
-w 通常、more はその出力の終端まで来ると終了 し
ます。しかし、-w を用いると、more は終了する
前にプロンプトを出し、キーが押されるのを待ち
ます。
-lines デフォルト ( 端末画面内の行の数から 2 を引い
た数 ) の代わりに、指定された数の lines を行
数分画面に表示します。
+linenumber linenumber から表示します。
+/pattern pattern という正規表現の入った行より上 の 2
行 から表示します。注意 : エディタと異なり、
この形式は `/' で終了してはいけま せ ん。 ス
ラッシュで終了すると、その後のスラッシュは検
索パターンの文字と見なされます。
[/usr/xpg4/bin/more]
以下のオプションは /usr/xpg4/bin/more でのみ指定できます。
-e 引数リストの最後のファイルの最終行を出力する
と、ただちに終了します。
-i 検索時に、大文字と小文字を区別せずにパターン
マッチングを行います。
-n number 1 画面当たりの行数を指定します。number 引 数
の 値は正の整数です。-n オプションの値は、環
境から得られる値に優先して用いられます。
-p command
+command 検査対象の各ファイルに対し、最初 に command
引数中の more コマンドを実行します。それが行
番号や正規表現検索など位置決め用のコマンドで
あれば、コマンドの最終結果を表すように現在の
位置を設定します。ファイルの中間行は書き出し
ま せん。例として次の 2 つのコマンドを見てく
ださい。
more -p 1000j file
more -p 1000G file
これらは、現在の位置を行番号 1000 として表示
を開始する、という同じ動作をします。しかも、
j がファイルの検査中に呼び出されていれば書き
出して画面から消したであろうと思われる行は飛
ばします。位置決めコマンドが正常終了でなけれ
ば、ファイルの先頭行が現在の位置となります。
-t tagstring tagstring 引数で指定したタグを持つファイルの
内 容 を 1 画面分表示します。詳細については
ctags(1) ユーティリティの説明を参照してく だ
さい。
-u バックスペース文字を印刷可能文字として扱い、
^H (CTRL-H) と表示します。このとき、ある種の
端末では下線付きまたは強調モードテキストで出
力するような特殊な処理や、下線を付ける処理は
行いません。さらにこのオプションが指定される
と、行の終わりのキャリッジリターンを無視しま
せん。
-t tagstring と -p command ( または旧式の +command) オプショ
ンの両方が指定された場合、-t tagstring が先に処理されます。
【使用法】
[環境]
more は、端末の terminfo(4) エントリを使用して、そのディスプ
レ イ特性を判別します。more は MORE という環境変数に設定済み
オプションがないか調べます。たとえば、デフォルトで -c モード
を使用してファイルをページングするときは、この環境変数の値を
-c に設定します (通常、この環境変数を設定するコマンドシー ケ
ンスは .login ファイルまたは .profile ファイルに格納します )
。
[コマンド]
コマンドはただちに有効になります。コマンド が file 、 com-
mand、tagstring 、pattern のいずれかを必要としない限り、キャ
リッジリターンを入力する必要はありません。コマンド文字自体を
指定しないかぎり、行抹消文字を入力すれば、入力中の数値引数を
取り消すことができます。さらに、消去文字を入力す れ ば、 `--
More--(xx%)' または file メッセージを再表示できます。
以下のコマンドにおいて、i は数値引数です ( デフォルトでは 1
) 。
iSPACE 次の画面を表示します。i を指定すると、i 行追
加表示します。
iRETURN 次の行を表示します。i を指定した場合は、i 行
追加表示します。
ib
i^B (Control-b) 画面を i 個、逆にスキップして 次
の画面を表示します。
id
i^D (Control-d) 画面を半画面分または i 行分、 順
方 向 にスクロールします。i が指定されていれ
ば、その値が以降の d および u コマンド用のデ
フォルトとなります。
if 画面を i 個スキップして次の画面を表 示 し ま
す。
h ヘルプ。more のすべてのコマンドの説明を表 示
します。
^L (Control-l) 画面の再表示。
in 直前に入力した pattern の i 番目の一致を検索
します。
q
Q more を終了します。
is i 行スキップしてから 1 画面分を表示します。
v 現在のファイルの現在行で、 vi エディタに入り
ます。
iz SPACE と同じ。ただし i を指定した場合、そ の
値が画面当たりの行数の新しいデフォルト値にな
ります。
= 現在の行番号を表示します。
i/pattern pattern という正規表現の i 番目の一致を順 方
向 に 検索します。pattern という正規表現の i
番目の一致またはパイプの終端、どちらか先に見
つ かった方を含む行の前 2 行から画面を表示し
ます。more がファイルを表示中であり、一致 が
ない場合、そのファイルにおける位置は変更され
ません。正規表現は、消去文字と抹消文字を使用
し て編集することができます。第 1 カラムを越
えて消去すると、検索コマンドが取り消さ れ ま
す。
!command シェルを起動し、command を実行します。% およ
び ! という文字を command 内で使用すると、そ
れぞれ、現在のファイル名および直前のシェルコ
マンドに置換されます。現在のファイル名がない
場合、% は展開されません。これらの文字の前に
バックスラッシュを追加して、展開をエスケープ
してください。
:f 現在のファイル名と行番号を表示します。
i:n コマンド行に指定された i 番目後の ファ イ ル
名、 または i が範囲外の場合はリスト内の最後
のファイル名までスキップします。
i:p コマンド行に指定された i 番目前の ファ イ ル
名、 または i が範囲外の場合はリスト内の最初
のファイル名までスキップします。ファイル内に
more を位置決めしている間に指定すると、ファ
イルの最初に移動します。more がパイプから 読
み 取り中の場合、more は単に端末ベルを鳴らす
だけです。
:q
:Q more を終了します ( q または Qと同じ ) 。
[/usr/bin/more]
以下のコマンドは /usr/bin/more でのみ使用できます。
' 単一引用符。直前の検索が開始された点に移動しま す。
現 在のファイルで検索を実行していない場合、ファイル
の最初に移動します。
. ドット。直前のコマンドを繰り返します。
^\ テキストの一部表示を停止します。more は出力の送信を
停 止し、通常の --More-- プロンプトを表示します。一
部の出力は結果的に失われることがあります。
[/usr/xpg4/bin/more]
以下のコマンドは /usr/xpg4/bin/more でのみ使用できます。
i^F (Control-f) 画面を i 個スキップして次の 1 画
面分を表示します (if と同じ ) 。
^G (Control-g) 現在の行番号を表示します (= と同
じ ) 。
ig ファイル中の行番号 i に進みます。デフォル ト
は先頭行です。
iG ファイル中の行番号 i に進みます。デフォル ト
は最終行です。
ij 次の行を表示します。i が指定されていればその
行数分を表示します (iRETURN と同じ ) 。
ik 画面を逆方向にスクロールします。i 指定時はそ
の行数、省略時は 1 行です。
mletter letter で示す名前で現在の位置をマー ク し ま
す。
N 逆方向に検索します。
r 画面を再表示します。
R 画面を再表示し、バッファ内に入力があればそれ
を破棄します。
iu
i^U (Control-u) 画面を逆方向にスクロールします。
i 指定時はその行数、省略時は半画面分です。i
が指定されていれば、その値が以降の d およ び
u コマンド用のデフォルトとなります。
ZZ more を終了します (q と同じ ) 。
:e file 新たなファイルを検査 ( 表示 ) しま す。 file
を 省 略すると、現在のファイルが再表示されま
す。
:t tagstring tagstring 引数が示すタグの位置へ進み、タグを
含む行が現在の位置となるように画面をスクロー
ルします。詳しくは ctags ユーティリティの 説
明を参照してください。
'letter 以前に letter という名を付けてマークした位置
に戻ります。
'' 最新の 1 画面分を超える移動を行なったとき の
元の位置に戻ります。デフォルトはファイルの先
頭です。
i?[!]pattern ファイルを逆方向に検索し、pattern を含んでい
る i 番目の行を見つけます。! は、pattern を
含んでいない i 番目の行の検索です。
i/!pattern ファイルを順方向に検索し、pattern を含んでい
ない i 番目の行を見つけます。
![command] シェルまたは指定したコマンドを呼び出します。
[大規模ファイルの動作]
ファイルが 2 ギガバイト ( 2**31 バイト) 以上ある場合の more
と page の動作については、largefile(5) を参照してください。
【環境】
more の 実 行 に 影 響 を 与 え る 環 境 変 数
LC_COLLATE(/usr/xpg4/bin/more の み )、 LC_CTYPE、
LC_MESSAGES、NLSPATH 、TERM についての詳細は、environ(5) を
参照してください。
[/usr/xpg4/bin/more]
以下の環境変数も /usr/xpg4/bin/more の実行に影響を与えます。
COLUMNS 画面の水平方向のサイズとして、システムが選択
した値の代わりに用いる値を指定します。
EDITOR エディタを選択する際に v コマンドを使用し ま
す。
LINES 画面の垂直方向のサイズとして、システムが選択
した値の代わりに用いる値を指定します。画面当
たりの行数を決める際、-n オプション の 値 が
LINES の値に優先します。
MORE 前述の「オプション」の項で説明した、オプショ
ンを指定する文字列です。コマンド行に記述する
場合と同様に、オプションとオプションの間は空
白 文字で区切り、個々のオプションは - で始ま
らなければなりません。MORE で指定し た オ プ
ションの後で、コマンド行のオプションが処理さ
れます。つまり、コマンド行が次に示すように記
述 さ れ ていると見なされます。 more $MORE
options operands
【終了ステータス】
次の終了ステータスが返されます。
0 正常終了
>0 エラーが発生した
【ファイル】
/usr/lib/more.help /usr/bin/more と /usr/bin/page の た
めだけのヘルプファイル
【属性】
次の属性については attributes(5) のマニュアルページを参照 し
てください。
[/usr/bin/more /usr/bin/page]
____________________________________________________________
| 属性タイプ | 属性値 |
| 使用条件 | SUNWcsu |
| CSI | 未対応 |
|_____________________________|_____________________________|
[/usr/xpg4/bin/more]
____________________________________________________________
| 属性タイプ | 属性値 |
| 使用条件 | SUNWxcu4 |
| CSI | 対応済み |
|_____________________________|_____________________________|
【関連項目】
cat(1), csh(1), ctags(1), man(1), nroff(1), script(1),
sh(1), ul(1), environ(4), terminfo(4), attributes(5),
environ(5), largefile(5)
[/usr/bin/more /usr/bin/page]
regcomp(3C)
[/usr/xpg4/bin/more]
regex(5), XPG4(5)
【注意事項】
[/usr/bin/more]
逆方向のスキップを大規模なファイルに対して行うと遅くな り ま
す。
[/usr/xpg4/bin/more]
端末が正しく設定されていないと、このユーティリティも正しく動
作しません。
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