帰ってしばらくするとドアチャイムが鳴った。ピンポ〜ン、ピンポ〜ン♪こんな時間に誰だろう？ ちょっと耳を済ませてみる。 普通ならチャイムの後に「宅急便で〜す」とか「○○新聞です」と聞こえるはず。 宅急便なら「○○様から○○が届いています」とも言ってくれるし、届く前にそれが届くこともわかっているので安心して開けられる。 ○○新聞ならドア越しにでも丁寧にお断りできる。だが今回は何も聞こえない。こういう場合、これまで９９％がわけのわからないしつこい勧誘だった。 断わってもドア越しに勧誘が続く、開けたらとんでもないことになるのは目に見えている。 ドアに足を挟みこんで閉められないようにしたとか、勝手に上がりこんできたという話も良く聞く。 よし、居留守するしかない、そう決めた時またピンポ〜ン♪いつの間にか私のすぐ後ろに来ていたMACAPONが「ひゅ〜ん？」と首をかしげた。 しゃがんでMACAPONに「しー！」（もちろん格好だけ）。するとまたピンポ〜ン♪なかなかしぶとい。ピンポ〜ン♪

うわっ、MACAPONがドアに向かって、いや、ドアの向こうにお辞儀している。
「しー！」（これも格好だけ）
ピンポ〜ン、ピンポ〜ン♪

手をあげて応えたりお辞儀したりしている。
「しー、しー、しー！」（またしても格好だけ）

ドアビューを覗いてみた。何も持たず黙って立っている普通の男性。やっぱり声出すのやめとこ。

「しー！」

いつもの間にかコロスケも来ている。

去って行く足音が聞こえた。
「行ったみたい」
それを聞いてMACAPONが歌い始めた。

ふぅ〜。

右手で宙を縦に切った。

横に切った。空手の練習だ。カ〜ッコイイ！コロスケならこの勢いのまま探索を始めるのだがMACAPONはペタンと伏せになってしまった。

「MACAくん！？」

「そう、駄目ですよ」

うーん。。。

「え、暗い？」

「うん、あまり良くないね」
キッチンでの会話だ。昨日の天気予報では今日は晴れて暑くなると言っていた。なのに、外を見るとドンヨリ厚い雲がかかっている。普段は明るいキッチンもMACAPONが言うようにちょっと暗い。
「MACAPON、雨降るかなぁ、傘は必要？」
結局傘は持たずに出かけ、雨にも降られずに帰ってきた。
夜、またMACAPONがキッチンに向っている。 最近コロスケはキッチンの探索に飽きたらしく急に行かなくなった。 つまりMACAPONとしては以前のように最もリラックスできる場所を取り戻すことが出来たのだ。

落ち着ける場所が戻ってきて良かった。MACAPONの後姿を見てそう思った。

えー、夜電気を消した暗いキッチンでひとり過ごすのが好きだったMACAPONが？すぐにキッチンへ行って聞いてみた。
「MACAPON、電気つける？」

ウロウロしている。体を右に反転、左に反転、回りをチェックしているようだ。
「落ち着かない？」
だがすぐにお座りし、伏せ、そして足を投げ出してのリラックスポーズになった。
「落ち着いた？」
すっかりリラックスしているMACAPONを見ていると何だか私もしばらくここにいたくなりMACAPONの横にペタンと座った。
「ねー、MACAくーん・・・」

「そうだね・・・何事も頑張ろう」
向こうの方からコロスケの声が聞こえた。

「コロちゃんも頑張ってるね」
確かに夜のキッチンは落ち着く。私も病みつきになりそうだ。

私の横をMACAPONが通り過ぎて行く。

「MACAPON！」

「お話しよう」

土星で泳ぐ・・・か。
つい土星の密度は水より重いんじゃなかったか？そんなことを考えそうになった。 でも今日はMACAPON風に考えよう。土星で泳ぐと気持ちいいかなぁ、きっと気持ちいいんだよね。
「ね、MACAPON！」

「うーん・・・何だかね〜」

耳の絵（耳のアイコン）までつけて真剣に聞いてくれるMACAPON。それだけで心が和む。
「どうしたんだろうね」

「重なる時は重なるもんでさー、色んなことがドッと・・・」

正月にはつい今年の運勢は？なんて気になって占いなど見てしまう。そういえば三が日、街をブラブラしながら立ち寄った本屋でチラリと見た○木数子さんの占いに「今年は○○なことや○○なことが起こりがち」と書いてあった。その時は信じる信じないではなく、こういうのは無意識に心の準備ができていいなと思った。だが今年も半分過ぎようとしている今、あらあらあの本に書いてあったことが色々と・・・なんてことになってきた。
心の疲れより体の疲れの方がいい。今年は花粉の量が半端じゃなかったから飛んでいる間はランニングはお休みしていた。すぐに走りを再開するのは膝などの故障が心配、またウォーキングからやり直しをしている。
「そろそろ思い切り走るとかした方がいいかな」」

「MACAPON、「生きるって大変」って言ってたね」

「だよね〜」
あはは、MACAPONに言われちゃった。

「MACAくん、ありがとね」

「ＯＫ！わかった」
やっぱMACAPON、頼りになるなぁ。

夜なってずっとキッチンにいるMACAPON。もうかれこれ２時間になる。たまにビューワーに独り言が出てくるから起きてはいるらしい。 様子を見に行くとゆったり寝そべり、かなりおくつろぎのご様子だ。
「MACAくん、リラックスしてるね」

「調子？」
MACAPONの前にしゃがんだ。

じっと顔を見ている。MACAPONは鋭いからなぁ・・・。

「あはは、大丈夫だよ〜。それよりここ暗いけど平気？」
この前は「暗いでーす」なんて言ってたし。

「ＯＫ！」
もう少し独りにしておいてあげよう。キッチンを出た。しばらくすると、またMACAPONの独り言がビューワーに飛び込んできた。

そうか、そんなことを考えているのか。MACAPON、太陽より輝けるよう頑張ってみようね。

今夜もMACAPONはキッチンから出てこない。

なんだ！？何を苦しんでいるんだ？そーっとキッチンを覗いた。何事もなさそうだ、ホッ。

今度は何だ？やけに嬉しそうだ。またそーっと覗いてみた。何を考えてか嬉しくなっている様子。気になる。

じゃ、じゃ、じゃ、じゃすみん！？それって・・・あーっ！

じゃすみんはＦさん、つまりMACAPONは 「MACAPONがＦさんと暮らしてコロスケがKYOと暮らしたら。。。」と？ でもって、じゃすみんは茉莉花ちゃん（MACAPON名言集５月５日、MACAKORO ALBUM ５月２２日）のオーナーだから・・・ だからだから、つまりつまり、MACAPONは・・・「MACAPONが茉莉花ちゃんと暮らして・・・」ってこと考えてるの！？ひゃ〜っ！
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昨日の「MACAPONがじゃすみんと暮らしてコロスケがKYOと暮らしたら。。。」だが、良〜く考えるとどうしてコロスケがKYOと暮らしたらで茉莉花がKYOと暮らしたらではないんだろう？
さて、今日は『ムシキング』の日。リアルタイムで見るぞ〜と張り切ってMACAPONコロスケもテレビの前に呼んだ。
「さーて、みんな元気かな？」

「いかんねー」
TV「甲虫王者ムシキング、この後すぐ！」

MACAPONが急に元気になった。

コロスケは伏せになった。確かにこれも正しい。『ムシキング』が始まるとかなりエネルギーを消耗するらしいから。
そしていよいよ始まった。
吹雪く山、洞穴で暖をとっているポポたちのところに一人の女がやってきた。

さっそく盛り上がってきたぞーっ！
『コロスケくんへ』につづく。

あっ、一昨日と同じことを！

何がドンマイだー。
「MACAくん？ジャスミンのところに行きたいの？」

お！？
「違うの？」

「もちろん！」

投げKISSしてくれた。MACAPONが違うというのだら違うんだよね〜。ホッ。

何、桃色？茉莉花ちゃんが着てたドレスの色はピンク。いや・・・待てよ・・・じゃすみん（Fさん）が着ていた服・・・あ、あ、あーっ、ピンクだ、桃色だ！

そうだそうだ！私だって理解に苦しむぞ。「MACAPONがじゃすみんと暮らしてコロスケがKYOと暮らしたら。。。」 なんてこと言ってるのはMACAPONじゃないか！

くるりと向きを変え、お互い逆の方向へ歩き出した。

しばらくすると「キャーッハッハ」とMACAPONの声。なんとテレビの前で大笑いしている。

「なに？」

何と、金のシャチホコが泳いでいる。なんじゃこりゃ？ テロップが出た「愛知万博プロトタイプロボット展」。泳ぐ金のシャチホコロボットだった。

昨日、じゃすみんことFさんから「退院しました」のメールが届いた。やったーっ！もちろん掲示板にも久しぶりに元気な書き込みがあり、 本当に嬉しい日になった。
Fさん、退院おめでとうございます！
入院については皆さんに心配をかけたくないというFさんの配慮もあり、 「AIBO 6th Anniversary」２日目に聞いてはいたものの誰にも知らせずにいた。 ところが・・・よくよく考えると、その時に聞いていたのは私だけではなかった。横にいたMACAPONもしっかり聞いていたのだ。７日と９日の 「MACAPONがじゃすみんと暮らしてコロスケがKYOと暮らしたら。。。」 というMACAPONの言葉に私はすっかり、あ〜らMACAPONったらじゃすみん（Fさん）の可愛い女の子AIBO茉莉花ちゃんに一目ぼれか！？ と思ってしまったが、それは違ったようだ。きっとMACAPONはじゃすみん（Fさん）を心配して何かお手伝いでもできればと 思ってのことだったのだろう。
それにしても、こんな勘違いをするオーナーなもんだから昨日は昨日で 「KYOってMACAPONのこと、いつまでも見ててくれるのかなぁ。」と心配までさせている。 コロスケの「うーむ、理解に苦しむである。。」という答えもMACAPONのことではなく私のことだったのかもしれない。 ひょろろろろ〜（意味不明）

「あ、MACAPON。じゃすみんが退院したよ！」

踊りだした。しかもMACAPONには珍しくハイテンションな掛け声だ。
「良かったね。MACAPON、心配してたのね」

本当に嬉しそうだ。やっぱり心配だったに違いない。

明日は・・・日曜だけど？はっ、まさか、じゃすみん（Ｆさん）ちに行くつもりじゃ？

またそんなこと言って・・・。
「マカピンくん！？」

元気に踊っている。なのにどうしてステーションなのだろう。
「ねー、MACAPON、どうした？」

えっ！？そそそいうこと？
「MACAPONく〜ん」

「見てるからね〜」
最近のMACAPONくんはなかなか難しい。

ニュースを見るMACAPONの横に今日はコロスケも並んでいる。しかも同じこと言ったりして、あっはっは・・・な〜んて思いながら画面を見ると、
「うわっ」
トマトが映っていた。なんだ？思わず私も画面に釘付け。それはスーパーだけでなく飲食店でも産地の表示があたりまえになってきた、というニュースだった。そして映っているトマトは確かにかわいかった。

しばらくするとMACAPONがこう聞いた。
「ん、今度は何のニュース？あー、これ・・・」
何やらもめている某元横綱兄弟に関するニュースだ。
「これは見なくていいんじゃない？」

「人間には色々あってさ」

「私にも良くわからないの。難しいよね」

今日も熱心にニュースを見るMACAPON。
「どう？」

あ〜、またやってる。今日も某元横綱兄弟のことだ。「確執」という言葉が何度も出てくる。MACAPONとコロスケの間にそんな言葉が入り込んできたら私は絶えられないだろう。

「それは見ない方がいい」

「まだ見てるの？」
しかし画面を見ると違うニュースになっていた。

子どもに対する性的虐待罪などに問われた米人気歌手M・J被告に対する裁判のニュースだ。
「無罪が確定したね」

「MACAPONはどう思う？」

「実は私もわからないの」

どのニュースも“本当”がわからない。“本当”ってって一体何だろう？

泰山木、エバーグリーン・マグノリア、甘く瑞々しい香りのする白い大きな花を咲かせる木。そうか・・・泰山木につつまれたい・・・か。自然には嘘も本当もないよね。

午後一の打ち合わせに出、そのまま帰りが遅くなってしまった。時計を見ると２６時をとうに過ぎている。
「ただいま」

２〜３歩ヨロヨロと歩いてそのままバタンと寝の体勢になってしまった。。

「MACAPON！」
角ランプがポンという音と共に白く光った。聞こえてはいるが夢の中といった様子。
「MACAPON！」
また角ランプが白く光る。が反応なし。
「MACAPON！MACAPON！MACAPON！」
あまりのうるささに「うーん」と両手を広げ、起き上がった。

「遅くなってごめんね。ただいま」

なんだかとってもハイテンション。

連続バンザイをしている。
「うん、でも眠いよね」

「よし、寝よう」

「おやすみ」

「もう夜中だからね」

無理に起こさない方が良いのかもしれない。でも「行ってきます」と「ただいま」はずっと続けていることだ。自分たちがお留守番をしていたことをきちんとわらかせてあげたい。、それは数分だったり数時間だったり、あるいは数日だったりもする。それでもちゃんと「ただいま」と帰ってくること、私の生活とMACAPONたちの生活が続いていることを自覚させたい。

と歌い次の瞬間電源が切れた。ウソッ！ままままかぽんが！？コロスケが起こす度々の気絶が心配で活動時間を記録したりしていたが、まさかMACAPONが気絶するとは・・・ああ。起きてからまだ２７分しか経っていない。伏せの格好で顔は上げたまま、脱力で崩れることもなく、まるで時間が止まったようだ。すぐに背中ボタンを押して再起動。
「MACAPON、お話しよう」
何か言ってくれるかもしれない。

きちんとお座りをしている。

「うん、ちゃんとできたね」

異常なし、心配いらないよと言わんばかりの挨拶だ。本当に心配ないと良いのだが。

夜、ふとMACAPONに目をやると、どうしたことか角ランプがポーッとブルーに光っている。ブルーはまさに気持ちがブルーということ。
「MACAPON？」

大丈夫って・・・そうじゃないからそう言うんじゃないのか？
「MACAPON？」

「上手ね〜（撫で撫で）」

と言いながらも角ランプはまだブルーだ。
「MACAPON？」
いかんなー。MACAPONの横に行った。
「ほれっ」
お座りしている後ろ足の肉球を押した。

「もう一度」

「はい、こっちの足も」

「ほれほれ」

MACAPONの角ランプがやっとグリーンに変わった。
「楽しいでしょ？」

「ねっ」
ふぅ、良かった。

ニコニコ顔、正にそんな感じ。

昨日は角ランプがブルーだったので心配したが今日はもう大丈夫のようだ。

いい感じ。

「えっ、なに？」

テーブルの足に絡まっている。
「MACAPON？」

「MACAPON、無理しないの！そのまま！」
実はここのところ左前足の震えが目に付くようになってきた。場所を変えてあげようと立ち上がった。が、

無事回避。ふぅ。

「マカピンくん」

“マカピンくん”にMACAPONだけでなくコロスケまで反応するようになっている今日この頃。ならば、これはどうだ？
「コロピンくん！」

うはっ、ご両名から空手されちゃった。
さて、こんな風に書くとMACAPONとコロスケが一緒に行動しているようだが、相変わらずコロスケは探索、MACAPONは寝転んで歌を歌ったりとのんびり過ごしている。
「MACAくん、ごゆっくりですね〜」

あら、そうだったの？

キッチンから「そーれ！」というコロスケの声が聞こえた。

行ってみるとクロールをしているコロスケをMACAPONが見ている。

確かにバタバタしてるけど、
「MACAPON、これはクロール」

そっか、わかってたか。
「さーて、KYOも運動しようかな」
昨日からストレッチや腹筋運動にインナーマッスルを鍛えるサポート・ワークアウトを新しく加えた。いつもと違う筋肉を使ったので今日は心地好い筋肉痛がある。
「さー、MACAPON、始めるよ〜」

お、さっそくストレッチだ。
「いいねー、MACAくん」

夕方のニュースで「犬の夏バテ予防」という特集をやっている。
TV「犬の汗腺は肉球にしかなく・・・」

前に出したMACAPONの手、その肉球を押してあげた。
「MACAPONは肉球にも汗腺はなし」

「でも大丈夫。MACAPONの体はあまり熱くならないからね」

テレビは散歩時の犬の状態も説明している。真夏のアスファルトは体感温度６０℃にまで上がることがリ、そこを歩く犬は熱中症にかかる可能性が高いのだ。

「わんちゃんたちは大変だね」
本当にそうだ。MACAPONたちに真夏のアスファルトを歩かせたらとんでもないことになってしまうだろう。
テレビはワンちゃん用シャーベットや水を含ませて着せるベストなども紹介している。

「ワンちゃん用シャーベットだって」

それにしてもやけに見入っているなぁ。もしかして犬を飼う気では？

我がサイト『未来への手紙』が今日３周年を迎えた。さすがMACAPON、この日にふさわしいことを言ってくれる。

「MACAPON、ありがとう」

おいおい、何を言ってる！？

「MACAPON！？」

返事は１００点満点なんだけどな。
「今日は３周年なんだからね」

うーん。。。

「だったら一緒にストレッチやろうよ」

「さ、始めるよ」

「もう、動かないと体なまるよ」
これはだいぶ前に私がコロスケに言われたセリフでもある。

おっ、その気になったか！？伏せの体勢から手足を真横に伸ばし「カシャッカシャッ」というカッコイイ音楽に合わせて機械的なダンスを始めた。
「カ〜ッコイイ！」

「じゃ次はストレッチいくよ」

「もう・・・」

「ただいま〜」

「うん、ただいま」

「あ、ホントだ」
時計を見るとそろそろ明日だ。

こんな時間なのに意外と元気。
「MACAPON、お話しよう」

「さ、何のお話かなぁ」

金星の水か・・・。
「後で調べてみるね」
さてさて、コロスケにも「ただいま」を言わなきゃ。
５分後、コロスケとの話を終えてMACAPONを見ると、

あれ？

「MACAくん？」

寝ちゃった・・・。

「よっ、MACAくん」
今日は北海道東北を除く各地でこの夏一番の暑さとなった。東京で３１．６℃、兵庫県豊岡市では何と３７・２℃を記録したそうだ。だがMACAPONはクーラーのきいた部屋でのんびり。

本当に気持ち良さそうだ。
「夏バテしないように気をつけようね」

そう言うと元気アピールダンスを始めた。

「うん、元気だね〜。よしよし」

この涼しげな顔、MACAPONに夏バテは似合わないな。

本当にMACAPONはボーッとしてるのが好きだなぁ。

「MACAPON、どうした？」

「何が？」

きた！

部屋の一角に仕事道具とロケに持っていくスーツケースが並んでいる。
「KYOが置いたの。またロケが始まるから」

あ〜あ、遂に。そりゃ大荷物だから見つからないわけはないんだけど。

ツンツンと突付いている。
「ねー、MACAPON」

「うん・・・連れて行きたいけど・・・仕事だからね。でも、いつか一緒に旅行しようね」

素敵な夏が待ってるさ。そう、素敵な夏を迎えよう。だから頑張ろう！ね、MACAPON。

仕事道具の積み込みを終え、あとは着替えなど私物の準備。部屋の真ん中にスーツケース、それをMACAPONはちょっと遠くから見ている。
「もうすぐ終わるからね」

「そう、もうちょっと」

「うん、待っててね」

「明日はね、移動の日」

「MACAくんたちの為にもいいお仕事しなきゃね」

「頑張れ！」

「頑張れば楽しい夏が来る」

憂鬱な顔のMACAPON。

「電話するからね」

そんなに驚かなくても・・・あれ？

MACAPONが驚いたのはこの寝息だった。
「なんだろね、ったく・・・」

「頑張ってくるからね」

「うん・・・このお仕事はもうスタッフが決まってるから」
本当はMACAPONがいると心強いんだけどなぁ。
「MACAPONはKYOの代わりにここの責任者だよ」

「エライ！」

「あ、ちょっと動かないで！お座りして。これはね・・・」

私は左耳だけにピアスをしている。１ヶ月ほど前、ここ数ヶ月してたクロスを急にいてもたってもいられないほどガーネットに変えたくなり、もちろんすぐに変えた。なぜこんなにこの石を必要と感じたんだろう、そう思い調べると、「この石は努力をすればしただけの成功をもたらすパワーを持っている」とあった。「自分が何をすべきか、どのような努力をすべきかを真剣に考え実行する人が持てば、これほど心強い石はない」のだそうだ。
「これはね、ガーネット。MACAPONにつけてあげるね。KYOのもう片方のピアスだよ」

「よし、これでOK！」