蟯虫の形態
|
|
蟯虫の特徴
|
ネズミ盲腸蟯虫 |
Syphacia muris |
ネズミ大腸蟯虫 |
寄生 |
マウスの盲腸 |
ラットの盲腸 |
マウスの結腸起始部 |
体長 |
♂1〜2mm ♀3〜6mm |
♂約1mm ♀3〜4mm |
♂2〜2.6mm ♀2.6〜4.7mm |
形態 |
頭部膨大部なし、頸翼なし、尾部細長く尖る。陰門は体の前端から約1/6〜1/7の位置。 |
頭部膨大部なし、頸翼なし、尾部細長く尖る。陰門は体の前端から約1/4の位置。 |
頭部膨大部あり、頸翼あり、尾部はSyphacia属ほど尖らない。陰門は体の前端から約1/3の位置。 |
虫卵 |
120〜140×30〜50mm |
72〜82×26〜36mm |
83〜93×38〜43mm |
蟯虫の生活環と日周活動リズム
|
ネズミ盲腸蟯虫 |
Syphacia muris |
ネズミ大腸蟯虫 |
生活環 |
感染後11日目に♀成虫は肛門へ移動し、肛門周囲に産卵後死亡。産卵後5〜20時間で虫卵は感染可能。 |
感染後7〜8日目に♀成虫は肛門へ移動し、肛門周囲に産卵後死亡。産卵後5〜20時間で虫卵は感染可能. |
感染後23日目から♀成虫は腸管内で断続的に産卵。寿命は45〜50日。産卵後6日で虫卵は感染可能。 |
日周リズム(*) |
産卵は午後の早い時間に多い。 |
産卵は午後の早い時間に多い。 |
産卵は夕方〜早朝。 |
蟯虫の感染状況
最近の国内のマウス・ラットの蟯虫感染状況については数は少ないが、下記の報告がある。外国の感染例が多く報告されているので「外国のほうが汚ない」と単純に思う人もいるが、国内の状況を調べてから比べなくてはいけない。蟯虫を定期検査の対象にしておらず、感染に気付いていないケースもかなりあるだろう、という印象を持っている。
実験への影響
このように実験への影響は以前から報告されている。
ICLASモニタリングセンターでは、病原体のランクのカテゴリーE(通常は病原性なく、飼育環境の微生物統御の判断する指標に有用な微生物)に分類している。来年度の見直し案では「ぎょう虫」としてカテゴリーCとEを並記しているが、蟯虫のうちどの種がCで、どれがEなのかは不明である(高倉
(2000): アニテックス, 12(4): 157-161)。
一方、『大学動物実験施設の実験動物の微生物モニタリングの指針』ではカテゴリーC(動物を致死させる力は無いが、発病の可能性があり発病しなくても生理機能を変化させる恐れがある病原体)か、カテゴリーD(通常は発病しないが、実験処理いかんでは病気を誘発させる恐れがある病原体)とされている。私はカテゴリーCかDが妥当と考える。
なお、前述のカテゴリーの一覧表では細菌は二名法で記されているのに比べ、寄生虫は総称として揚げられており、相変わらず個々の寄生虫種についての認識が低いと思われるのが残念である。
|
|
|