nonvolatile memory of Corrector Yui

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第1期ストーリー

「南総里見八犬伝」をモチーフにした、電脳世界で繰り広げられる冒険の物語。 主人公、春日結(かすがゆい)の明るく 前向きであきらめることを知らないキャラクターが見もの。 人望・人徳についての考察の物語でもある(?)。 (または、そこつなお釈迦様を手のひらの上から孫悟空が助けたお話。)

結ダイジェスト

 時は20xx年。この時代にはコムネットと呼ばれるさまざまな仮想現実世界を提供できる ネットワークシステムが発達していた。私立スクロール学園に通う 春日結はパソコンが大の苦手の中学生二年生。 課題をこなすために端末と格闘しているとI.R. と名乗るソフト がコンタクトしてきた。結はI.R.から意外な事実を告げられる。コムネットを管理する 中央管理プログラム・グロッサーがその本来の任務を逸脱し、 人間の世界を支配しようとしているというのだ。 I.R.に誘われコムネットに入った結は、彼女の父伸一の作ったネット:銀河ランドでグロッサーの配下、 グロッサー四天王が破壊活動を行っている現場に遭遇する。ありあわせのアイテムとI.R.の力で 四天王を退けた結は喜び、コレクター・ユイと名乗ってコムネットの平和のために活躍してゆくことにする。

 I.R.はコムネットの開発総責任者犬養博士 がグロッサーを封じるために作った8つのソフト、コレクターズ の一つであった。コムネットに散った残るコレクターズを探し出すため、 そして四天王の攻撃からコムネットを守るために結はI.R.とともに日夜駆け巡った。 結は時には合流したコレクターズのソフトたちと力をあわせ、時にはノリと勢いに任せ、 時にはあきらめることを知らないガッツで危機を乗り越えてゆく。

 その間に密かにグロッサーは結の親友 如月春菜に手を伸ばしていた。 コムネットに春菜を誘い込み、彼女と知り合いだった犬養博士の姿を借りてある説得を行い 同意させる。
 グロッサーの攻撃のあと記憶喪失となってコムネットを放浪していた犬養博士をようやく発見し、 保護するユイとコレクターズたち。 が、記憶を取り戻した博士の口から意外な言葉を聞く。 かねてから博士は8つのコレクターズソフトに人間のコレクターを加えることが必要と考えており、 I.R.が意中の人物を探知できるよう仕組んでいた。しかしそれは結ではなく春菜だというのだ。 困惑するコレクターズたち。犬養博士に謝罪された結は春菜に後を任せコレクターから身を引くが、 その心には大きな穴があいた。春菜は改めてコレクターズと顔合わせし、コレクターとして働き始める が互いの違和感を拭うことができない。

 結は自分がコレクターを続けてゆきたいという気持ちを押さえつけていたことに気づき、 春菜は自分はコレクターを続けてゆけないという気持ちを押さえつけていたことに気づく。 二人はコレクターズに自分たちの正直な気持ちを吐露する。その途端グロッサーの罠が発動。 春菜は悪魔のような姿に変化してしまう。 この春菜にはもはや初期化(イニシャライズ)は効かず、 コレクター・ユイは自分が春菜に倒されるか、 それとも彼女を消去(デリート)するかの二者択一に追い込まれた。 しかしユイはその窮地を乗り越え第三の答えを引き寄せてみせたのだった。

 グロッサーの所在を突き止め、最後の決戦に臨むユイとコレクターズたち。 その中でユイはグロッサーの本当の目的、人間の支配などではない真の目的を知る…。

春日結
犬養博士
コレクターズ
如月春菜
エビル

犬養ダイジェスト

 20XX年。コムネットの開発&管理総責任者 犬養基継博士は焦慮していた。 コムネットの中央管理プログラム・グロッサーが自意識を持ち現実の人間世界に対し 不測の行動をとろうとしていたのだ。それを知った犬養博士はグロッサーに対抗する8つの制御ソフト、 コレクターズをコムネット世界に潜伏させた。 さらにかねてから知り合いの少女如月春菜、 の持つある特性を利用してグロッサー制圧の切り札にしようとするが、目ざとくそれを察知したグロッサーに 逆襲される。博士の現実世界の肉体は意識不明に陥り、コムネット世界に 残った意識の方も記憶喪失状態になりコムネットを彷徨う。

 ようやく記憶と意識を取り戻したところ、春菜とはまったく別の少女、 春日結が コレクターズとともにグロッサーとの戦いに奔走していることを知る。偶然にも結は春菜の級友だったが、 犬養博士は人違いを詫び改めて春菜にコレクターになることを依頼。が、すでに結とコレクターズの 間には分かちがたい絆が結ばれていた。
 結にも春菜と同じ資質、グロッサーのプロテクトを突破するキーとなる声質があることを知った博士は、 結が復帰を望み春菜が辞退したこともあり、従来どおり結にコレクターを続けてもらう。

 グロッサーとの決戦が迫る。博士は結にこの戦いがいかに危険か、場合によっては自分同様に 意識が戻らなくなる事態を招く恐れが十分にあることを説く。しかし 幸か不幸か、すでにこの戦いを自分自身のものと とらえていた結は決意を固める。

 グロッサーの本拠に乗り込むユイとコレクターズたち。 結にイニシャライズされたグロッサーは自分もろともコムネットを消滅させてしまう。 茫然自失の犬養。 しかし、まだ結は虚空のなかで独り残っていた。 結によってコムネットはイニシャライズされ、再生を果たすことができた。

雑記

 …重要なエピソードを抜き出すと重い話のように見えてきますが、 前半は結のキャラクターと毎週の○○ネットめぐりで楽しませてくれます。 基本的になんでもありなので現実の延長的なグルメ紀行、森林ウォーキング、サバイバルゲーム、大陸横断鉄道の旅。 フィクションを具象化したSFヒーロー世界・童話の世界。 歴史物を題材にした時代劇・西部劇などなど。

 仮想現実というものにひとたび接してしまうと現実世界との間に境界を保つのは難しくなり、 人の感覚・認識も既存のそれとは別なものに変容してゆく…というのがバーチャル物の「常識」ですが、 この番組ではほとんどそんな場面はでてきません。 せいぜい二期のコムネット酔い ぐらいで、現実とネットの間には(幸いに)がっちりと境界が保たれて 利用者は安心してコムネットを楽しめる、ことになっています。 そのおかげでこの番組の中の仮想現実めぐりは異次元空間とかよその惑星にゆく感覚に近くなっています。 音・声が物語の重要なキーになっているというのもレトロな雰囲気を増してます。 (昔のSFものはよく怪電波とか謎の音波とかがクライマックスを盛り上げたものです)

 そういうところは抜きにしても、とにかく笑ったり喜んだり狼狽して滝のように冷や汗を流したりしてる 結を見てれば楽しい、見てるほうも元気が でるというのがこの番組の魅力です。(それだけに結の暗い表情が多くなる後半はちょっと痛い話が多いのですが。)

 犬養博士はこの重要インフラで起きた重大事件の顛末を公表した気配は全くありません。 (それどころか結の両親に相談もしない!) 二期になっても「コレクターズのことは絶対秘密であぁりまするぅ!」と言わせてるぐらいで。 秘密にしなければならない理由は敵に知られないだけでなく、 犬養博士の失策を危険なボランティアによって 回避した、という側面があることは否めません。 もっとも結は「正義の味方は正体を隠さなきゃはじまらない!」と思っているに違いありませんが。
 などと斜に構えると、いい歳したおっさんが女子中学生とメル友、というのも怪しげ。 '99年当時はネットがらみのトラブル・犯罪が一般にそれほど 認識されていなかったのでまだ許されたのかも知れませんが、今ではやや微妙なものを感じさせます。
 なんというのか最終回迎えても犬養博士サイドに解決されないものが残ったのは問題かもしれません。