nonvolatile memory of Corrector Yui

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分身?

 …なにやら寒気がする構図ですが…。

 単純な勧善懲悪の物語以外では、主人公サイドからみて敵というものには 決して対立がとけない部分と最後に和解し受け入れる部分と2つの側面を持っている ことが多い。第一期ではグロッサーは後者の部分で救われるわけですが、それを 発現するのに東条瞬の姿を借りなければならなかったところが彼のつらいところでした。 二期でまた同じ手を使うわけにいかないのでこの二つを最初から分離したのが 黒川良と篠崎愛。どうも関連付けるのに抵抗覚える取り合わせですが。

 で、ふと気が付いたのは瞬兄さんは実は最後にグロッサーの言葉の代弁者、 依り代(よりしろ)として使われる ためだけにいたのでは?と。結果論だろうけど、二期で まったく省みられることがなかったのは要するに「用が済んだ」からで、 その春日結のどうしても気になる人物、というポジションは愛に完全に、 ご丁寧に住んでいるところまで取って代わられたのはそういうことだったのであろうか。

第2期ストーリー

一期だけでこのシリーズが終了していたら、そういえばNHKで変わった番組があったねえ、で 終わっていたかもしれません。それを救ったのがこの第二期。
敵か味方か不明の謎のライバルを迎えての熱い友情の物語。

 第二期は一期に比べるとより複雑な構成になり、いくつもの物語が同時進行する形になりました。

1. コムネットを襲う新たな危機“バグルス”を追うユイとコレクターズ&犬養博士
 グロッサーが正常に戻って数ヶ月。コムネットにいままでのウィルスよりも強力な悪質プログラムが蔓延する。シンクロも その被害をうけ、グロッサー四天王時代のウォーウルフの姿に逆戻りしてしまった。 犬養博士はこれがただのウィルスではないことを知り“バグルス”と名づけ、 コレクターズたちとその対策に乗り出す。
2. コレクター・ユイとコレクター・アイの物語
 犬養博士が結のために用意した新型コムコンが何者かに奪われる。そしてそれを使ってエレメントスーツに身を包んだ 謎のコレクター、コレクター・アイが出現。アイはコレクター・ユイよりも有能で、いち早くバグルスを発見しそれを イニシャライズして立ち去ってしまう。ユイは主人公として存在意義の危機にさらされ、ライバル心を燃やす。
3. 春日結と篠崎愛の物語
 結の隣家、外国留学中の東条瞬の家に彼の従姉妹の篠崎愛がやってくる。 容姿も頭脳も秀で、しかし態度のすこぶる冷たい愛に結は反発を覚える。 たまたま彼女の学校と合同で演劇を行うことになり、競演することになった結。しかし演劇部員たちの嫉みに さらされ続けしかもそれを日常のことと受け流す愛のあまりに冷え冷えした人間関係に結は言葉を失う。
4. 元グロッサー四天王、フリーズの自分探しの旅
 グロッサー四天王としてコムネットの破壊を続けていたウィルス、ジャギーそしてフリーズは 新たな仕事に就いていた。しかしフリーズは自分自身の適性が分からず、コムネットで職を 転々としている。
5. “バグルス”発生現場近辺に出没するクマのぬいぐるみを抱いた少女
 少女は何かを探している風だが、常に何かに追われてもいる様子。
6. フリーズに接近する執事風の謎の人物とその黒幕
 謎の執事はフリーズにぬいぐるみの少女の捜索と保護を依頼する。望外の好条件に 喜ぶフリーズは承諾するが…。
その後篠崎愛とコレクター・アイの背景が少しずつ明かされすべての伏線が一つに合流してクライマックスに突入してゆく…。


 改めてこうして並べるとフリーズってやっぱり隠れヒロインですね。 (迷える勤め人の代表。悲しいかなあんまり人気ないですが…。PUSHしたのは岡本慶子氏ぐらいか…)

雑記

 犬養博士は最初からアヤシイ親爺として登場するので、かえって一期のように すっきりしないものを残す心配はなくなりました。
 変身物で変身アイテムがいきなり盗まれて誰だかわからない人物に使われてしまう、 というのが巧いですね。あまつさえそっちの方が有能、とくれば前作で不発だった英雄集合譚の醍醐味が 最初から期待させられます。 (もともと変身ヒロイン物は当初単独だったのがやがて同じ力を持った仲間が加わって戦隊物に 変化してゆく傾向が強く、英雄集合譚の要素を持っていますがこの作品は全シリーズ通じて3人と少なめ。 その分他にない密度の濃い物語を獲得したといえるでしょう。)

 一期の結はグロッサーの哀しみを自分の物としてとらえ、彼の痛みを自分の物として感じとる ナイーブさを見せていましたが、今回の彼女はより自立した強い存在になっていました。 自分で自分を傷つけてそこから抜け出せない愛を時には励まし手をさしのべ、時には突き放し、 とことん彼女を信じて正面からぶつかりつづけます。

 で結局二十六話かけて最後には愛の心をGET(口説いているわけではないですが(笑))。 最後に初めて結に礼を言う愛。この場面でこの番組を見ててよかった、と思った諸兄諸姉は大勢いるはず。