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ユーザーコマンド                                            lp(1)

【名前】
     lp - 印刷要求の送信

【形式】
     lp [-c] [-m] [-p] [-s] [-w] [-d destination]  [-f form-name]
     [-H special-handling] [-n number] [-o option] [-P page-list]
     [-q priority-level]  [-S character-set  |  print-wheel]   [-
     t title] [ -T content-type [-r]] [-y mode-list] [file ...]

     lp  -i request-ID  ...  [-c]  [-m]   [-p]   [-s]   [-w]   [-
     d destination]   [-f form-name]   [-H special-handling]   [-
     n number] [-o option] [-P page-list] [-q priority-level]  [-
     S character-set | print-wheel]  [-t title] [ -T content-type
     [-r]] [-y mode-list]

【機能説明】
     lp ユーティリティは印刷要求を宛先に送信します。lp コマンドに
     は 2 つの形式があります。

     最初の形式の lp コマンドは、ファイル (file) (複数可) とそ れ
     に 関連した情報 (これらをまとめて print request と呼ぶ) を印
     刷します。file 引数を省略した場合は、標準入力と見な さ れ ま
     す。標準入力を指定したい場合は、file の中にハイフン (`-') を
     使用してください。ファイルは、コマンド行に表示された順序で印
     刷されます。

     2 番目の形式の lp は印刷要求のオプションを変更します。この形
     式 の lp は Solaris 2.6   オペーレーティング環境またはその互
     換バージョンの LP 印刷サーバー上に 限 り 使 用 可 能 で す。
     request-ID  で特定された印刷要求は、指定された印刷オプション
     によって変更されます。指定可能なオプションは、前述の第 1  形
     式のものと同一です。指定した要求がすでに印刷処理を終了してい
     る場合、変更要求は無視されます。現在印刷中の場合には、その時
     点で中断され、始めから (または -P オプションがあれば指定され
     たページから) 印刷し直します。

     宛先の情報を決定するとき、印刷クライアントに関係するコマンド
     はネームサービススイッチ内にある printers データベースを使用
     します。詳細については、nsswitch.conf(4)、printers(4)、お よ
     び printers.conf(4) のマニュアルページを参照してください。

【オプション】
     SunOS 4.x または BSD ベースの印刷サーバーを持ったプ リ ン タ
     は、BSD プロトコルの拡張機能を扱うように設定されていません。
     lp はこのように違った宛先に送信する印刷要求を処理します ( 後
     述の「注意事項」を参照 ) 。

     次のオプションを指定できます。

     -c              印刷前に file で指定したファイルのコピーを生
                     成します。
                     本オプションを省略する場合には、印刷要求の印
                     刷処理が完全に終了するまで指定した file を削
                     除しないでください。本オプションを省略した場
                     合、 印刷要求を送信したあと印刷開始前に file
                     の内容を変更すると、変更後の内容が出力されま
                     す。 file はコピーされないで、リンクされるた
                     めです。



     -d destination  指定した宛先 ( destination ) に file を印 刷
                     します。宛先の指定に -d オプションを使用する
                     のは、ジョブが最初に作成されたときだけです。
                     (注:  既存のジョブを異なる宛先に移動する方法
                     については、lpmove(1M) のマニュアルページ を
                     参  照  )。  名  前、  POSIX  ス タ イ ル 名
                     (server:destination) 、またはフェデレー テッ
                     ド  ・ネー  ミ ン グ ・サー ビ ス  (FNS)  名
                     (.../service/printer/...)  を使用して、 des-
                     tination を指定します。名前や FNS 名の命名規
                     約については printers.conf(4) を、POSIX につ
                     いては standards(5) を参照してください。



     -f form-name    form-name 上に file を印刷します。 LP  印 刷
                     サービスは、プリンタ上にその用紙がセットされ
                     ていることを確認します。指定したプリン タ が
                     form-name  で 指 定 した用紙を扱えない場合、
                     form-name が示す用紙がシステムに対して未定義
                     の 場合、当該ユーザーが form-name の使用を許
                     可されていない場合には、印刷要求は拒否されま
                     す ( lpforms(1M) を参照)。



     -H special-handlingcial-handling の値に従って印刷要求を印 刷
                     し ます。special-handling には以下の値が指定
                     できます。

                     hold            指示があるまで、印刷要求を印
                                     刷 し ません。すでに印刷が始
                                     まっている場合は、ただちに中
                                     断されます。印刷要求が再開さ
                                     れるまで、保持された要 求  (
                                     印 刷要求の保持 ) よりも他の
                                     要求が先に印刷されます。




                     resume          印刷要求の保持状態を解除しま
                                     す。印刷実行中に保持された印
                                     刷要求であれば、現在印刷中の
                                     印 刷 要求の次に再印刷されま
                                     す。ただ し、 次 に 述 べ る
                                     immediate 印刷要求に追い越さ
                                     れる場合があります。



                     immediate       当該要求を現在印刷中の印刷要
                                     求の次に印刷します。複数の印
                                     刷要求が与えられると、最後に
                                     与えられたものから順番に印刷
                                     されます。ある印刷要求を早急
                                     に印刷したいが当該プリンタが
                                     他の印刷要求を印刷中の場合に
                                     は、その印刷中の印刷要求を保
                                     持することにより緊急の印刷要
                                     求を先に出力することができま
                                     す。immediate 要求は LP の管
                                     理者だけが使用可能です。




     -i request-ID   request-ID で指定した印刷要求用のオプショ ン
                     を 変 更 します。-i と request-ID の間にはス
                     ペース文字が必要です。このオプションが適用さ
                     れるのは、印刷サーバー上のローカルの待ち行列
                     内にあるジョブだけです。



     -m              file を印刷した後でメールを送 信 し ま す  (
                     mail(1)  を参照)。デフォルトでは、印刷要求が
                     正常に終了した場合にはメールは送られません。



     -n number       指定した部数の file を印刷します。number  は
                     数 字を指定してください。デフォルトの number
                     は 1 です。



     -o option       プリンタ固有のオプションを指定 し ま す。 -o
                     option  を 複 数 回 記 述して ( -o option -o
                     option -o option ) 、複数のオプションを指 定
                     し ます。プリンタ固有のオプションは、-o を 1
                     つだけ使用して、その後にオプション全体を二重
                     引 用符で囲んで ( -o " option option option"
                     ) 指定することもできます。以下のオプションが
                     指定可能です。

                     nobanner

                         見出しを示すバナーページの印刷を省略しま
                         す。このオプションは LP 管理者によって、
                         使用を禁止することができます。




                     nofilebreak

                         複数のファイルを印刷する場合、ファイルが
                         終わるたびに用紙送りをしません。



                     length=numberi|numberc|number

                         印刷要求を出力するときのページの長さ (イ
                         ンチ、センチメートル、または行数) を指定
                         します。インチの場合は文字 i を、セン チ
                         メー トルの場合は文字 c を number の後に
                         付けます。number だけを指定すると行数 を
                         表 します。たとえば length=66 はページの
                         長さが 66 行であることを、length=11i  は
                         11  インチであることを、length=27.94c は
                         27.94 センチであることを表します。

                         本オプションは -f と同時に指定することは
                         できません。



                     width=numberi|numberc|number

                         印刷要求を出力するときのページの幅 (イン
                         チ、センチメートル、または行数) を指定し
                         ます。インチの場合は文字 i を、 セ ン チ
                         メー トルの場合は文字 c を number の後に
                         付けます。たとえば  width=65 はページ の
                         幅 が  65 カラムであることを、width=6.5i
                         は 6.5 インチであることを、width=10c  は
                         10 センチであることを表します。

                         本オプションは -f と同時に指定することは
                         できません。



                     lpi=number

                         印刷要求を 1 インチ当たり number 行に 設
                         定した行間隔で印刷します。number は 1 イ
                         ンチ当たりの行数を指定します。

                         本オプションは -f と同時に指定することは
                         できません。



                     cpi=n|pica|elite|compressed

                         文字間隔に 1 インチ当たり number 文字 を
                         設 定して印刷要求を印刷します。number は
                         1 インチ当たりの文字数を指定します。pica
                         は文字間隔をパイカ (1 インチ当たり 10 文
                         字) に設定し、また elite は文字間隔を エ
                         リート (1 インチ当たり 12 文字) に設定し
                         ます。compressed は文字数をプリンタが 印
                         字可能な範囲でできるだけ多く設定します。
                         全プリンタに共通な文字間隔の標準値はあり
                         ません。個々のプリンタのデフォルト値につ
                         いては Terminfo データべースを参照してく
                         ださい ( terminfo(4) を参照)。本オプショ
                         ンは -f と同時に指定することはでき ま せ
                         ん。



                     stty=stty-option-list

                         stty コマンド用のオプションの並びで要 求
                         を 印刷します ( stty(1) を参照 )。空白文
                         字が含まれている場合、全体を単一引 用 符
                         (`') で囲んでください。




     -P page-list    page-list で指定したページを昇順で印刷 し ま
                     す。 page-list  は、ページ番号の範囲、1 つの
                     ページ番号、またはその両方の組み合わせを指定
                     してください。

                     -P オプションは、これを扱えるフィルタが存 在
                     している場合にのみ指定できます。フィルタがな
                     ければ印刷要求は受け付けられません。



     -p              印刷の終了を知らせます。通知方法は、ソ フ ト
                     ウェアによって異なります。



     -q priority-lev印 刷待ち行列において優先順位を印刷要求に割り
                     当てます。priority-level は 0 から 39 までの
                     整数で指定してください。0 は優先順位が最も高
                     い ことを表し、39 は優先順位が最も低いことを
                     表します。優先順位を省略すると、LP 管理者 が
                     決めた印刷サービス用のデフォルトの優先順位値
                     が用いられます。LP 管理者はユーザーごとに デ
                     フォ ル トの優先順位も割り当てることができま
                     す。



     -s              lp からのメッセージの出力を抑止します。



     -S character-set当該要求を、character-set で示す文字セットま
                     た は print-wheel で示す印字ホイールを使って
                     印刷します。使用すべき用紙が、-S オプショ ン
                     で 指 定したもの以外の文字セットまたは印字ホ
                     イールを必要とする場合には、印刷要求は受け付
                     けられません。セット可能な印字ホイールまたは
                     フォントカートリッジを用いるプリンタ は、 -S
                     オプションが指定されていなければ、印刷要求を
                     同時に設定した印字ホイールまたはフォントカー
                     トリッジを使用します。


                       o  印字ホイールを用いるプリンタ

                          print wheel が、LP 管理者がプリンタ用の
                          も のとして認めたホイールリストに含まれ
                          ていない場合には、すでにセットされて い
                          な い 限 り、当該要求は受け付けられませ
                          ん。

                       o  ユーザー指定の文字セットまたはプログ ラ
                          ム可能な文字セットを使用するプリンタ

                          -S オプションが省略された場合、lp は 標
                          準 の文字セットを使用します。character-
                          set が、当該プリンタ用の terminfo  デー
                          タ べー ス中に定義されていない場合や LP
                          管理者が定義した別名のいずれにも一致 し
                          な い場合には、当該要求は受け付けられま
                          せん。terminfo に関して は  terminfo(4)
                          の説明を参照してください。


     -t title        見出しを表すバナーページのタイトルを印刷しま
                     す。title が空白文字を含んでいる場合には、全
                     体を引用符で囲んでください。title を指定しな
                     い場合は、バナーページにファイル名が印刷され
                     ます。



     -T content-type 指定した content-type をサポートするプリンタ
                     を選択します。このタイプを直接サポートするプ
                     リンタが存在しない場合には、フィルタによりサ
                     ポー ト可能なタイプに変換されます。ただし -r
                     オプションを指定すると、フィルタは用いられま
                     せ ん。 し た がっ て  -r  を 指定したとき、
                     content-type を直接受け付けられるプリンタ が
                     存在しなければ、要求は拒否されます。またフィ
                     ルタを通しても、その変換後のタイプを受け付け
                     られるプリンタが存在しなければ、やはり要求は
                     拒否されます。



     -w              全ファイルを印刷後、ユーザーの端末にメッセー
                     ジを送信します。ユーザーがログインしていなけ
                     れば、メッセージの代わりにメールが送ら れ ま
                     す。



     -y mode-list    当該要求を mode-list で示したモードで印刷 し
                     ます。mode-list に指定可能な値はローカルに定
                     義されています。

                     本オプションは、それを扱えるフィルタが存在し
                     ている場合に限り使用できます。フィルタが存在
                     しないと、要求は拒否されます。



【オペランド】
     以下のオペランドを指定できます。

     file            出力されるファイル名。file はパス名、また は
                     標 準 入 力を表すハイフン (-) を指定します。
                     file を省略した場合、lp は標準入力を用 い ま
                     す。



【使用法】
     ファイルが 2 ギガバイト ( 2**31 バイト) 以上ある場合の lp の
     動作については、largefile(5) を参照してください。

     lp の実行に影響する次の環境変数  (LANG、 LC_ALL、 LC_CTYPE、
     LC_MESSAGES、 NLSPATH および PATH) については、environ(5) の
     マニュアルページを参照してください。

     LC_TIME         lp バナーページに表示される日時文字列があ れ
                     ば、その書式と内容を指定します。



     LPDEST          転送先を指定します。LPDEST 環境変数が設定 さ
                     れていない場合、PRINTER 環境変数が使用されま
                     す。-d dest オプションは、LPDEST よりも優 先
                     されます。-d が指定されず、LPDEST の値が有効
                     な転送先名でない場合、結果は未定義です。



     PRINTER         出力デバイスまたは転送先を指定します。LPDEST
                     ま たは PRINTER 環境変数が設定されていない場
                     合、未指定の出力デバイスが使用されま す。 -d
                     dest オプションと LPDEST 環境変数は、PRINTER
                     より優先されます。-d オプションが指 定 さ れ
                     ず、 LPDEST が設定されず、PRINTER の値が有効
                     なデバイス名または転送先名でない場合、結果は
                     未定義です。



     TZ              lp バナーページに表示される日時文字列があ れ
                     ば、それを計算するのに使用する時間帯を指定し
                     ます。TZ が未設定あるはヌルの場合、未指定 の
                     デフォルトの時間帯が使用されます。



【終了ステータス】
     以下の終了ステータスが返されます。

     0               正常終了



     0  以外         エラーが発生した



【ファイル】
     /var/spool/lp/*                 LP 印刷待ち行列




     $HOME/.printers                 ユーザーが構成可能なプリンタ
                                     データベース



     /etc/printers.conf              システムのプリンタ構成データ
                                     ベース



     printers.conf.byname            /etc/printers.conf  の   NIS
                                     バージョン



     printers.org_dir                /etc/printers.conf の   NIS+
                                     バージョン



     fns.ctx_dir.domain              /etc/printers.conf  の   FNS
                                     バージョン



【属性】
     次の属性については attributes(5) のマニュアルページを参照 し
     てください。
     ____________________________________________________________
    |         属性タイプ          |            属性値           |
    | 使用条件                    | SUNWpcu                     |
    | CSI                         | 対応済み (「注意事項」参照) |
    | インタフェースの安定性      | 標準                        |
    |_____________________________|_____________________________|

【関連項目】
     cancel(1), enable(1), lpq(1B), lpr(1B), lprm(1B), lpstat(1),
     mail(1),    postprint(1),    pr(1),   stty(1),   accept(1M),
     lpadmin(1M),    lpfilter(1M),    lpforms(1M),    lpmove(1M),
     lpsched(1M),    lpshut(1M),    lpsystem(1M),    lpusers(1M),
     nsswitch.conf(4),   printers(4),   printers.conf(4),    ter-
     minfo(4),  attributes(5),   environ(5),  largefile(5), stan-
     dards(5)

【注意事項】
     CSI 機能は、プリンタ名が ASCII 文字で構成されていると仮定 し
     ます。

     印刷ジョブには 1 種類のデータだけが含まれるものと し ま す。
     データの種類は、コマンド行で指定されるか、ジョブ内にある最初
     のファイルの内容に基づいて自動検出されます (単純な デー タ、
     PostScript データなどと識別される)。

     SunOS 4.x または BSD ベースの印刷サーバーを持つプリンタ は、
     BSD  プロトコルの拡張機能を扱うように構成されません。lp は、
     次の方法でこのようなプリンタに送られた印刷要求を扱います。

     1.  印刷要求が 52 ファイル以上であっても、52 ファイルで切 り
         捨てます。この場合、lp は警告メッセージを表示します。


     2.  -f 、-H 、-o 、-P 、-p 、-q 、-S 、-T 、-y オプション に
         は、印刷サーバーへ引き渡すためにプロトコルの拡張機能が必
         要になることがあります。lp が印刷要求を処理でき な い 場
         合、警告メッセージが表示されます。

         LP 管理者は /etc/printers.conf 中にプリンタの bsdaddr エ
         ントリを設定して、プロトコルの拡張機能をつけることができ
         ます。/etc/printers.conf の bsdaddr エントリを次のように
         変更します。


         destination:bsdaddr=server,destination,Solaris


         すると、Solaris 印刷サーバーによって処理可能な BSD 印 刷
         プ ロトコルの拡張機能を有効にします。この時点では、lp は
         Solaris のプロトコルの拡張機能だけをサポートしています。